現代のラグビーフットボール(注1)(以下ラグビーと略す)は、全世界の人々に知られる団体の競技スポーツとして世界的に普及、発展させるために毎年のように競技規則(以下ルール)の改正を実施してきた。それはラグビーをプレーする側、つまりプレーヤー本位の論理からの改正ばかりではなく、“プレーを観る側”の論理によって、ゲームが中断せずスピーディーでおもしろいゲームにするため”行われた取り組みの一つであった。3,7)
さらに、現在では“ゲームを支える側、運営する側”と協働するための論理などにより、ラグビーにおけるルール改正には、明確な意図とその目的が存在しており、ルール変更の際は、明らかな理由が明示されるようになっている。ラグビーにおけるルールの制定は、ラグビーの戦略・戦術的な発展にも深い関わりがあり、これまでも技術的に数多くの新しいプレー創造を促し、プレー発展の歴史的経緯にさまざまな影響を及ぼしてきた。21,26,27)
つまり、ラグビーのルール改正の変遷を辿ることは、ラグビーのスポーツ競技としての魅力と新たなプレーの工夫と創造の歴史的変遷を辿る上でも非常に重要な役割を果たすことになると思われる。
注1.現代のラグビーフットボールとは、現在では一般的3,6,8,9,11)に、1950年−1960年代以降のラグビーを示して用いられている。