2020年、男女7人制代表チームは、ホストとして五輪を迎えることになる。
女子は、サイズ・スピード、能力の高い新戦力(若手・他競技・外国籍)を、集中・継続的に強化すること、そしてこれまで同様に代表スコッドの集中強化の継続が必要である。それに加えて、怪我を防ぐ予防プログラムの改善、日本代表チームの「強み」を、より科学的に検証し、他競技なども参考しながら、新しいことを恐れずに導入していくことも大切である。スタッフが、選手の「10」のパフォーマンスを発揮するための工夫(トレーニング方法、プレッシャー)を学び続け、チャレンジすることで、選手の新たな成長を生まれる。
男子は、目標としていたメダルに手が届かなかったが、ニュージーランド、ケニア、フランスといったメダル候補の強豪国を撃破しての4位であり、国際大会での日本ラグビー過去最高の成績であった。
しかし、ラグビー競技終了後に行われたレスリング、バドミントンでは、日本選手が金メダルを獲得、その後、テニス、卓球、陸上なども、連日のようにメダル獲得していった。他競技のメダル獲得の瞬間やメダルを逃し、悔し涙を流す歴代のメダル獲得者の姿から、オリンピックでメダル獲得という目標に対してどれだけの覚悟で大会に臨んだか、自分たちに問い直し必要性を感じた。
ラグビー界として、これまで行ってきた4年間の強化、取り組みは、他のメダル獲得経験のある選手や競技団体に比べて、メダル獲得への想いや強化の体制が甘かったと言わざるを得ない。
強化体制として、リオ五輪までに整えることができなかったのは、男子7人制日本代表には7人制を専門的にプレーする環境がなく、7人制を専門にプレーする選手が存在しないということである。
7人制の選手は大学または社会人チームに所属し、普段は15人制ラグビーをプレーしている。オリンピックに向けて7人制代表に選手を優先的に召集できたのは2015年3月からの約1年半だった。
男子の強化において、2012年からの2年間は、オリンピックに向けて継続した強化ができなかったことは前述の通りである。またリオオリンピック後、オリンピックに出場した12名全ての選手は所属チームに戻り15人制ラグビーをプレーしており、2016年度の国内シーズンが終了するまで7人制でプレーをしていない。オリンピック後に行われたアジアセブンズシリーズやセブンズ・ワールドシリーズには、セブンズの経験がほとんど無いメンバーが新たに代表に招集され、非常に少ない準備期間で大会に臨むという2012年時と同じことが繰り返されている。
「日本は15人制ラグビーが優先されるので、7人制は世間がオリンピックに目を向け始める(オリンピックの)2年くらい前からでないとメンバーを固定して本格的に強化をするのは難しい」という言葉が協会関係者からも聞かれる。選手からも「オリンピックが終わったので一旦は7人制を離れ、所属チームで15人制の試合に出たい」という言葉を聞いた。先に揚げたメダルを獲得した選手や競技団体が2020年の東京五輪を見据えて更なる強化を継続している中で、メダルを逃した7人制日本代表は未だに7人制に特化した強化や継続した強化が行えていない。
オリンピックでメダルを獲得することを日本ラグビー界としての目標とするのであれば、ラグビー界全体がオリンピックでメダルを獲得することの価値とその難しさを共有しなければならない。
日本ラグビーフットボール協会、7人制ラグビーの関係者が本気でオリンピックのメダル獲得を目指し、選手所属チームの理解と協力を経て、ラグビー界が一体となった強化体制を構築し、選手が7人制に特化できる環境を作ることが必要である。
選手たちも、少なくとも4年間は7人制に集中する覚悟を持ち、7人制に適したトレーニングを計画的に行なって、初めてメダル獲得を目標に掲げることができる。
(岩渕、瀬川、浅見)