スーパーラグビーは、「SANZAAR(South Africa + New Zealand + Australia + Argentina Rugbyの頭文字)」の各ラグビーユニオン(協会)が運営するプロリーグである。その前身は南半球の南アフリカ協会、
ニュージーランド協会、
オーストラリア協会が共同で設立したジョイントベンチャー企業「SANZAR(South Africa + New Zealand + Australiaの頭文字)」であり、SANZARはこの3ヶ国を代表するクラブの12チーム(「スーパー12」)を運営するプロリーグとして1996年にスタートした。
2006年には新たに南アフリカと
オーストラリアから1チームずつが参戦し、14チーム(「スーパー14」)となった。2011年には、再び
オーストラリアの1チームの参戦によって、南アフリカの6チーム、
オーストラリアの4チーム、
ニュージーランドの5チーム、合計15チームでチャンピオンシップを競うリーグとなり、「スーパーリーグ」とその名称を変更した。2016シーズンからはさらに参加枠を拡大し、南アフリカから1チーム、アジアから1チーム、
アルゼンチンから1チームを加え、全18チームからなる大会となった。
SANZAARは主に二つの事業を展開してきた。一つはスーパーラグビーの事業であり、もう一つは南アフリカ、
ニュージーランド、
オーストラリアに
アルゼンチンを加えた4ヶ国の代表チームが国家の威信を懸けて戦うテストマッチ「The Rugby Championship」の事業である。
アルゼンチンはスーパーラグビー参戦に先駆けて、The Rugby Championshipには参戦していたが、さらなる強化を目的として、新たにスーパーラグビーに参戦することにしたのである。
アルゼンチンの参戦により、SANZARは2016シーズンからその名称をSANZAARに変更している。
2015
ワールドカップ(2015RWC)において、SANZAARの4ヶ国が軒並み準決勝に進出したTOP4に顔を連ねたことを考えると、現在この南半球の4ヶ国が世界のラグビーを牽引していると言っても過言ではない。チームの強化を考えた場合、
日本がこのリーグに参戦し凌ぎを削ることは、代表強化にとって極めて重要であることは自明であろう。
実のところ、世界のラグビーを牽引する南半球ではあるが、SANZAR自体もまたスーパーラグビー事業における観客動員の減少で大きな戦略転換を迫られていたのである。そこでSANZARが目をつけのが、アジアマーケットにおけるスーパーラグビー事業の展開である。これにいち早く手を上げたのがシンガポールであった。シンガポールにはもともと「アジアンドラゴンズ」というエクパッツ(
オーストラリア、
ニュージーランド、アイランダーズなどの国外在住者)で構成されるチームがあり、このチームを母体として、さらに海外から優秀なプロフェッショナル選手を雇用することで、スーパーラグビーのチーム編成が可能だと推察されていた。しかしながら、シンガポールラグビーの普及の実態や活動実績は、一部のエクスパッツのラグビーファンだけに対する展開であった。ラグビー自体がシンガポールで定着しておらず、競技人口や普及活動が期待できないことから、興行収益が不透明で、積極的に参戦できる状態にはなかったのである。時を同じくして、SANZARより
日本にも参戦のオファーがあったものの、国内のラグビー人気の低迷やジャパンの試合数の増加など、参戦には複数の課題が浮かび上がった。しかしながら、規模的にも質的にも
日本には他のアジアの国々とは比べ物にならないほど、ラグビーに関する普及と強化の実績を持ち合わせていた。さらには、RWC2015の準備期にあった(公財)
日本ラグビーフットボール協会(JRFU)の代表事業部はエディー・ジョーンズという稀代の名スキッパー(スキッパーとは船長という意味を持ち、スポーツチームにおけるヘッドコーチを意味する)の後ろ盾もあり、スーパーラグビー参戦はジャパンの強化に不可欠であるという判断に至った。これにより、
日本はSANZARの参加合意書に同意し、2016シーズンから参戦することになったのである。