2007年に指導者資格制度の改定が行われ、2008年以降は旧資格制度からの移行を済ませ、新資格制度を基盤に指導者の養成が着実に進められた。
2007年の資格制度改定は、2011年RWC招致に向けた基盤作りを目的にコーチの資質の向上と人数の増加、新たな指導者の発掘と既存指導者の活性化、リスクマネジメント意識の向上を目標とした。そのため、資格区分、資格認定講習会カリキュラムについて、同時期に行われた(財)日本体育協会(現公益財団法人日本スポーツ協会)指導者資格制度改定と新設されたIRB(現WR)コーチライセンス制度との連接が図られた。
資格は、一貫指導(図5)を念頭におき、指導対象に応じた4種類に区分された。スタートコーチは、指導に関わるすべての指導者共通の資格として位置づけられ、これを入口に各都道府県における普及を担う指導者を対象とした育成コーチ、国民体育大会等全国規模の大会へ出場するチーム指導者を対象とした強化コーチ、トップリーグと日本代表チームの指導にあたる指導者を対象としたトップチームコーチの資格が設定された(図6)。
資格認定講習会カリキュラムは、「コーチングの指針の理解」「ラグビーに関する知識」、「プレーを分析し、練習プログラムを構成するスキル」、「伝えるスキル」を柱とした。改訂当初の各資格のカリキュラム内容は、図7の通りである。その後、ワールドラグビーコーチングライセンスのカリキュラムの変更にあわせ、育成コーチでレベル1、強化コーチでレベル2、トップチームコーチでレベル3を実施するように変更され、また、スタートコーチにはオンライン教材Rugby Readyが加えられた。
資格制度を確実なものとするため、資格認定講習会に加え、講習会で講師を務めるトレーナー(後にエデュケーターに名称変更)の養成が実施された。各都道府県にはスタートコーチトレーナーが配置され、WRトレーニング&エデュケーション部門と協働でWRコーチトレーナーも養成された。また、資格には有効期間が設定され、資格更新に際してはブラッシュアップ研修受講が、チーム登録の際には有資格者の配置が義務づけられた。
2008年以降、着実に資格認定講習会は開催されている。特にスタートコーチについては、毎年1000名程度の受講者を数えている。資格更新率には改善の余地を残すものの、2018年現在では、スタートコーチ6937名、育成コーチ1030名、強化コーチ898名、トップチームコーチ142名、合計9007名の登録数となっている。2017年から、(公財)日本スポーツ協会資格制度の次期改定に合わせ、また国際規格のコーチングを根付かせるため2017年から資格制度の改定が進められている。