第45回日本選手権大会 三洋電機:惜敗の歴史に終止符
45回目を迎えた
日本選手権を制したのはチーム創設48年目の
三洋電機ワイルドナイツだった。1960年創部。1967年に関東社会人リーグで初優勝以降、常に社会人トップレベルの実力を有しながら、全国タイトルを手にしたのは95年度全国社会人大会決勝で
サントリーと優勝を分かち合ったのみ。
3月16日快晴の秩父宮ラグビー場は、快晴で風も試合に影響するほどでなく、絶好のコンディション。立ち上がりから三洋の勢いが際立ち、4分FB田邉が先制PGを決め、8分
サントリーサンゴリアス陣内に10mほど入った右ラインアウトからの攻撃はHO山本のロングスローをFLタイオネがキャッチ、その起点から左に展開し最後はFB田邉がインゴール左隅に飛び込み、自ら難しいコンバージョンも決め10-0とリードした。
サントリーはモールを軸に三洋ゴール前に幾度も迫ったがLOメイリング、FL佐々木の負傷欠場も響き、懸命に人数をかけてこれを押し戻す三洋を崩し切れない。逆に、三洋は15分CTB霜村のタッチライン際の好走からWTB三宅が左中間にトライ、17-0と大きくリードを奪う。流れを代えたい
サントリーは攻撃的SH田中を投入し、ボールを動かすテンポを上げ、FB有賀のカウンターアタックからCTBニコラスがトライするなど短時間に17-11まで追い上げた。
後半4分三洋の田邉が2本目のPGを決めると、8分FLタイオネの突破からボールを大きく動かし、NO8龍コリニアシがトライ27-11と再び三洋がリード。
サントリーの強力スクラム、モールを食い止めた三洋FW陣の頑張りはこの日の最大の勝因だった。SOトニー・ブラウンの卓越したゲームコントロール、ピンポイントのタックルを次々に決めたCTB霜村らの活躍をFW陣が支えたのは確かである。
第46回日本選手権大会 三洋電機:粘り強いディフェンスで連覇
様々なカテゴリーのチームが集う
日本選手権は、実力差があるこその面白さがある。
帝京大の
リコーブラックラムズに対する健闘、トップイーストから勝ち上がった
リコーの躍進はこの大会ならではの面白さを体現していた。
今季の
日本選手権は、トップリーグの出場枠が拡大され上位6チームが参加し、大学上位2チーム、全国クラブ優勝チーム、トップチャレンジシリーズ1位の計10チームによって優勝が争われる予定であった。しかし、
東芝ブレイブルーパスが部員の不祥事で出場辞退となり、9チームでの戦いとなった。
トップリーグ5位の
NECグリーンロケットが同4位の
神戸製鋼コベルコスティーラーズを破り、その
NECを
リコーが破るという下剋上が相次いだ大会だったが、最終的に勝ち上がったのは連覇を狙う
三洋電機ワイルドナイツと昨年準優勝の
サントリーサンゴリアスだった。
2月28日、前日の雪が嘘のように晴れ渡った秩父宮ラグビー場には11,709人の観衆が集まった。
サントリーはCTBニコラスがPGを決めて前半22分までに9点のリードを奪った。
後半、SO曽我部が変則的なハイパントで
三洋電機を揺さぶったが得点には繋がらない。逆に
三洋電機は14分HO堀江、FL川口、SOブラウンWTB吉田というインパクトプレーヤーを次々に投入し、一気に流れを変えた。19分SOブラウンからのパスを受けたCTB霜村が内側にディフェンダーを抜き去ると、その右側にタイミング良く走り込んだWTB吉田にパスしトライ。入江のゴールも決まり10-9と逆転に成功。25分、33分にもWTB北川がトライをあげて突き放した。
サントリーも反撃に出たが、動きもやや鈍りWTB北條が1トライを返すに留まった。持ち味の粘り強いディフェンスで耐え、数少ないチャンスをものにした
三洋電機の連覇だった。
第47回日本選手権大会 三洋電機:選手層の厚さを見せつけた勝利
国内トーナメントでは唯一、様々なカテゴリーのチームが集う今大会は「挑戦」が大きなテーマだ。今季は大学史上稀にみる大型チームの
帝京大、
東海大に初出場の六甲ファイテングブル、来季からトップリーグ昇格をきめているNTTコミュニケーションズなどが格上のチームに「挑戦」それぞれ熱戦を繰り広げた。新設されたワイルドカードトーナメント(トップリーグ5位~10位が
日本選手権出場枠権を争う)を勝ち上がった
NECグリーンロケットはトップリーグ10位をいう正に崖っぷちから勝ち上がり、1回戦ではトップリーグ2位の
サントリーサンゴリアスと引き分ける大健闘。抽選で2回戦への出場、準決勝でも
三洋電機ワイルドナイツを最後まで苦しめた。最終的に決勝戦に駒を進めたのは
三洋電機と準決勝でトップリーグ王者・
東芝ブレイブルーパスを破った
トヨタ自動車ヴェルブリッツ。
2月28日秩父宮ラグビー場には朝から降り続いた雨にも関わらず1万人を超える観衆が集い、両軍の緊迫感ある戦いを固唾を飲んで見守った。前半は
トヨタがFLホップグッドのモールからのトライで先制すると、SOアイイの正確なキックで陣地を稼ぎ、ブレイクダウンでも
三洋電機に圧力をかけ続けた。18分には相手のノックオンを拾ったアイイが鋭いステップで抜け出し、WTB久住、菊谷、ホップグッドと繋いでトライ。12-0として前半を終了。
後半は、FL若松、SOブラウン、CTB霜村らがブレイクダウンで次々にボールを奪い流れを引き寄せ、22分交代出場のHO堀江がトライ。26分ブラウンが奪いとったボールを繋いでWTB北川が自慢の快足を飛ばしインゴールへ。
トヨタのホップグッドがシンビンで不在の間に2トライし、34分にはモールから若松がトライして試合を決めた。最後に
トヨタもFBイエ―ツのトライで5点差としたが、届かなかった。
第48回日本選手権大会 サントリー:9年ぶりの
日本一
エディ・ジョーンズ監督就任1年目。アグレッシブ・アタッキングを標榜し、それを貫いた
サントリーサンゴリアスが最後に頂点に立った。
今季3度目の対戦となった両チームはキックオフ直後から激しく仕掛け合った。9分三洋電気のCTB霜村がゴールラインに迫ると、
サントリーCTBニコラスが猛然とタックルし、ぎりぎりで引き戻し、このあとのターンオーバーから逆襲。SOピシの快走で敵陣深く攻め込み、最後はSH日和佐の横に走り込んだWTB小野澤がトライ。ディフェンスからの切り返しという
三洋電機のお㈱を奪ったトライで試合の流れは一気に
サントリーに傾いた。以降もSH日和佐、SOピシのHB団でボールを前に運び、密集サイドにWTB小野澤、FB有賀らのスピードランナーを次々に走り込ませてラインブレイク。
後半、
三洋電機は一時29-20と9点差まで詰め寄ったが、17分に投入されたSHグレーガン(元
豪州代表・世界最多の139キャップ保持者)が思い切ったサイドアタックなどでチャンスを作り、34-20とリードを広げて、
サントリーに9年ぶりに
日本一の座を取戻した。
第49回日本選手権大会 サントリー:鉄壁のディフェンスでトライを与えず
決勝戦はトップリーグのプレーオフに続き、
サントリーサンゴリアスと
パナソニックワイルドナイツの対戦になった。曇天、微風。小雨で芝生の表面が濡れるミスの起きやすいコンディションの中で、互いに素早いリアクションが観客を惹きつける好ゲームとなった。
トップリーグで敗れた反省から
パナソニックは密集周辺の防御を分厚くし、防御ライン全体で激しく前に出て、序盤は
パナソニックが押し気味に試合を進める中、23分FB田邉がPGを決めて先制。しかし、26分
サントリーはSOピシが自ら防御背後に蹴りあげたボールをインゴールで押さえて7-3と逆転。35分にはWTB小野澤が
パナソニックSOマイク・デラーニのパスをインターセプトして50mを駆け抜けトライ。
後半、
サントリーのSHフーリー・デュプレアの動きが輝いた。
パナソニックの防御に対応し、タイミングをずらしたパスや
パナソニックの意表を突く防御背後への正確なキックで出足を食い止めた。後半29分デュプレアのパスに走り込んだCTB平が勝敗を決めるトライを。
今大会は、大学王者の
帝京大は
東芝に対して接点では引けを取らない強さを見せ、大学選手権準優勝の
天理大は持ち前の展開力でキャノンを苦しめたが、大差が多く、
日本選手権の組合せに課題を残す結果となった。
第50回日本選手権大会 サントリー:怒涛の波状攻撃で3連覇
サントリーサンゴリアスが無傷のまま、トップリーグ連覇に続いて
日本選手権三連覇を達成。2月24日決勝戦の相手は
神戸製鋼コベルコスティーラーズーラーズ。前半、風上に立った
サントリーはSHデュプレアのキックを軸に地域を進めながら戦おうとしたが、
神戸製鋼がこれを切り返し、長い時間ボールを保持しながら攻め続けた。しかし、
サントリーは粘り強い防御からFLスミスらがボールを奪い取り、村田、小野澤の両WTBが連続攻撃の締めくくるトライで前半を15-3とリードした。
後半は風上の
神戸製鋼のキックを
サントリーが切り返す逆の展開となったが、
サントリーはミスなく攻めきって点差を広げた。終盤の
神戸製鋼の怒涛の反撃は凄まじく、観客席を大いに沸かせたが、36-20で精度の高い
サントリーの優勝となった
今大会は、
サントリーの強さが際立ったが、
神戸製鋼が9年ぶりのファイナリストとなり、大学選手権4連覇の
帝京大学も
パナソニックワイルドナイツに前半は肉薄するなど果敢な挑戦も見られた。しかしながら、クラブ王者の六甲クラブが1回戦で三桁の失点をするなど実力の差も顕在化した。50回という節目の大会は、運営面での課題も残した大会となった。
第51回日本選手権大会 パナソニック:4季ぶりの頂点
パナソニックワイルドナイツは
三洋電機時代を含めて4年ぶりの優勝である。
今大会は、昨年からのトップチャレンジシリーズ優勝チームとクラブ王者の枠がなくなり、大学選手権でのベスト4チームが出場することとなった。1回戦はトップリーグの4チームが勝利。大学選手権優勝の
帝京大、準優勝の
早稲田大は健闘してものの力及ばず、2回戦はすべてトップリーグ同士の戦いとなった。
ヤマハ発動機ジュビロが
神戸製鋼コベルコスティーラーズに、
トヨタ自動車ヴェルブリッツが
東芝ブレイブルーパスにそれぞれあと一歩まで迫ったが、結局ベスト4はトップリーグと同じ顔触れとなった。
準決勝戦、
サントリー対
東芝の戦いは、前半風上に立った
サントリーがFB有賀FLツイのトライで17-6とリードした。しかし、後半スクラムで優位に立つ
東芝がスクラムを押し込んでのペナルティトライを含む3トライで逆転。
サントリーの反撃を凌いで7年ぶりの決勝進出を決めた。もう一つの準決勝戦
パナソニック対
神戸製鋼は
パナソニックのWTB北川の3トライなどで快勝。
3月9日の決勝戦は国立競技場で行われる最後の
日本選手権となった。観客19,571人。青と赤の応援旗がスタジアム中で揺れた。前半4分
パナソニックはSOバーンズがPGで先制したが、
東芝もWTB大島がトライして逆転3-7した。
互いに一歩も引かず、点の取り合いとなった。後半も、一進一退の攻防が続いたが6分
パナソニックSOバーンズがゴールライン直前まで自ら突破しタックルを受けながらCTB林にパスを繋いだトライで20-14とすると、21分交代出場のピーターセンが左コーナーにトライ27-14と勝負あったかと思われたが、その直後のキックオフからFLリーチがタックラーを弾き飛ばしながら突進して一気にトライ27-21の6点差に迫った。34分バーンズが45m以上のPGを決めて勝利を確かなものとした。
第52回日本選手権大会 ヤマハ発動機:悲願の初優勝
歴戦の強豪がずらりと並ぶ
日本選手権の歴代優勝チームリストに、新たな名前が加わった。第52回
日本選手権は、
ヤマハ発動機ジュビロが初優勝を果たした。これまでジャパン ラグビー トップリーグで優勝したチームがそのまま制覇することが続いてきた
日本選手権だが、トップリーグ決勝で
パナソニックの堅守の前に涙をのんだ準優勝の
ヤマハ発動機ジュビロが優勝し、新たな歴史が刻まれた。
サントリーとの決勝では強靭かつ献身的な組織的ディフェンスが全く綻ぶことなく、攻めては堅固なスクラムを軸にキックとロングパスを活用した効率的なアタックでCTBマレ・サウ、WTB中園が2トライを奪って、2試合連続の失トライゼロの30-21で歓喜の瞬間を迎えた。
第53回日本選手権大会 パナソニック:大学NO1の挑戦を退け優勝
ラグビー
ワールドカップとスーパーラグビーの日程に挟まれる形での短期決戦となり、トップリーグの優勝チームと大学選手権での優勝チームとの間で
日本選手権大会となった。
パナソニックワイルドナイツが大学王者の思い切りの良い攻撃に苦しむ場面もあったが、前半の立ち上がりにWTB児玉がトライを重ねるなど、常に先手をとって危なげなく49-15で勝利した。しかし、敗れた
帝京大も2トライを返すなど健闘。HO堀越、WTB尾崎らが何度もディフェンスラインを突破し、見せ場を作って大学選手権7連覇の実力を証明した。
第54回日本選手権大会 サントリー:5PGで7度目の優勝
1月29日、トップリーグを全勝で制した
サントリーサンゴリアスと上り調子の
パナソニックワイルドナイツによる今季の国内シーズンを締めくくる注目の一戦を見ようと20,196人の大観衆が秩父宮ラグビー場を埋めた。
立ち上がりは両チームともに地域を意識してのキックの応酬が多くなったが、ひとたびコンタクトが始まると選手がぶつかり合う音がスタンドまで届くような凄まじい肉弾戦が繰り広げられた。前半26分SO山沢が自らのショートパントを獲って大きく前進し、
パナソニックがチャンスをつかんだが、ここは
サントリーが粘りディフェンスをみせる。直後に
パナソニックLOダニエルがビッグタックルを決めるなど緊迫感ある攻防で瞬く間に前半が終了。後半も一進一退。9分
パナソニックはLOヒーナンが
サントリーのキックをチャージしてそのままトライ10-9と逆転。20分
パナソニックがボール争奪戦でペナルティを犯し、ここで得たPGを
サントリーSO小野が決めて12-10と逆転。小野は25分にもPGを追加し15-10とする。
パナソニックの攻撃を我慢強くディフェンスした
サントリーが勝利し、4大会ぶりに7度目の優勝を成し遂げた。
トップリーグ15戦全勝優勝、
日本選手権制覇と、今季の
サントリーは一度も負けずにシーズンを駆け抜けた。昨季のトップリーグ9位の悔しさをバネにハードワークを続けた末の復活劇だった。