第45回全国大学選手権と第46回
日本選手権の大会方式が変更になりました。全国大学選手権の組合せは各リーグの順位で予め組合せが決められていましたが、今季より抽選方式を導入することになりました。出場チームは16チームとし、関東大学対抗戦Aから5チーム、関東大学リーグ戦1部から5チーム、
関西大学Aリーグから5チームおよび九州学生1部リーグから1チームの計16チームによって行われる。抽選方式は出場大学チームを3グループに分け、第1グループは各リーグの1位チーム(4チーム)で、第2グループは各リーグの2位チーム(3チーム、九州は1位チームのみの出場)で、第3グループはその他チームの9チームで構成され、それぞれの3段階により抽選を行うものです。
また、
日本選手権はトップリーグの出場枠が拡大され、6位までのチームが参加し、全国大学選手権大会での優勝・準優勝チーム、トップリーグチャレンジシリーズ1位および全国クラブ大会優勝チームで行われます。
第44回全国大学選手権大会:
早稲田大、手堅いディフェンスで勝利
優勝候補の
早稲田大が2年ぶり14度目の優勝を飾った。今大会は関西勢が振るわず、関西王者の同志社大が関東対抗戦5位の
筑波大に敗れ、1回戦を突破したのは京都産業大のみ。京都産業大も2回戦で明治大の強力FWの前に屈した。
ベスト4は、関東大学対抗戦グループの4校。対抗戦グループがトップ4を占めたのは、1974年度に早・慶・明・
日体大が勝ち残って以来のことであった。
1月2日に行われた準決勝は、慶応義塾大と明治大が対戦し、FWで前に出たい明治大、BKに決定力のある慶應義塾大という好対照の対戦であったが素早い仕掛けでボールを大きく動かしながら攻めた慶應義塾大がCTB増田、WTB出雲の2トライで先行し、そのまま逃げ切った。
第2試合は、
早稲田大に対して
帝京大が健闘し、
早稲田大のモールを押し返すなど終始
早大を苦しめた。
早稲田大は後半なかばにモールを押し込みHO臼井のトライで突き放し、そのまま逃げ切った。
決勝戦は39年ぶりの早慶対決となった。試合は降りしきる雨の中でのキックオフ。
早稲田大は前半10分ゴール前スクラムからNO8豊田がトライ。慶應義塾大も37分にPGを決め7-3で前半終了。後半16分
早大はスクラムからNO8豊田、SH三井、CTB長尾に繋ぎゴール中央にトライ。14-3として優位に立った。その後も2トライを奪った
早稲田大の快勝だった。生憎の天候であったが国立競技場に23,694人の観衆が集まった。
第45回大会:
早稲田大、2年連続15度目の優勝
史上初の公開抽選による組合せ決定は、1回戦で2シーズン前まで6年連続で決勝対決を繰り広げた
早稲田大と
関東学院大が対戦、
帝京大と慶應義塾大という優勝候補同士の対戦が実現するなど興味深いものとなった。1回戦で
早稲田大対
関東学院大戦が行われた熊谷ラグビー場には8,934名もの大観衆が集まり、1回戦の観客動員数を大幅に引き上げる原動力となった。
東高西低と言われて久しい大学ラグビーだが、
関西大学Aリーグで初優勝を飾った関西学院大が縦横無人のラグビーで
日体大を翻弄、同志社大も流通経済大をBKのスピードで破り2回戦進出。抽選組合せの妙で関西対決を制した
摂南大を含めた関西勢の3チームが1回戦を突破した。
1月2日の準決勝。初のベスト4進出の
東海大はやや動きが堅く、自陣からの無理な攻撃も目立って力も出せず終い、
早稲田大の前にでるディフェンスに苦しめられた。もう一試合は、
帝京大がFWの圧力で法政大のスピードを封じ込め、初の決勝進出を果たした。
1月10日の決勝戦。
早稲田大は自陣からも果敢に仕掛け、強力FWを軸にじっくり攻めようとした
帝京大を翻弄。前半40分ゴール前のスクラムからNO8豊田が右サイドアタックでトライ、試合の流れを大きく引き寄せた。シンビンで一人少ない
帝京大FWは対応が遅れた。前半10-3とリードした
早大は後半23分にもNO8豊田がトライを奪い、試合を決めた。
1回戦での大きな山を乗り越え、一戦ごとに力をつけた
早稲田大の思惑通りの連覇だった。しかし、
帝京大、
東海大など大きく力を伸ばしたチームを多く、来季も大学ラグビーは混戦となりそうだ。
第46回大会:
帝京大、悲願の初優勝
帝京大は関東大学対抗戦では2敗を喫し4位、大学選手権大会に入ってから1回戦
関東学院大と同点引分け、トライ数で上回り2回戦に。三連覇を狙う
早稲田大を31-20で破り、準決勝戦に進出。
準決勝で
帝京大は明治大と対戦、FWの圧力とPGで着々と加点し、前半29分オープン展開からBK同志でラックを形成、LOボンドが走り込んだトライは試合の流れを大きく
帝京大に傾かせ43-12で決勝戦へ。一方、
東海大も1回戦で
筑波大との接戦を制し、2回戦では
天理大を53-12と攻守で圧倒し、2年連続での準決勝戦進出を果たし、伝統校の慶應義塾大に果敢なチャレンジを見せた。前半29分
東海大が先制、ラインアウトからHO木津が突進しゴールに迫り、こぼれたボールをLO三上が拾いトライ。FWの一人当たりの平均体重が8kgも上回る
東海大だが、その優位性に偏ることなくボールを動かし、最後は5点差まで迫られたが逃げ切った。
決勝戦は、どちらが勝っても初優勝という顔合わせになった。両校とも重量FWを擁し、外国人留学生も2人と、似通ったタイプであったが、FWの力強さとディフェンスに焦点を絞った
帝京大と、バランス良くボールを動かそうとする
東海大と、戦い方に相違点があった。先制したのは
帝京大、前半4分モールでゴール前に迫り、最後はショートサイドをついてSO森田がトライ、難しい角度のゴールをFB船津が決めた。後半も一進一退の攻防が続き、
東海大はFB豊島が2PGを決め13-7とリード。ボールを大きく動かして攻める
東海大を我慢のディフェンスで食い止め、敵陣深くでのセットプレーからのFW戦で応戦する
帝京大が後半26分決勝トライをあげた。ラインアウトからモールを押し込み、FL吉田が機を見て左中間に飛び込みトライ、ゴールを決め14-13と逆転。その後、
東海大に攻め込まれるも鉄壁のディフェンスで凌ぎきった。
帝京大の岩出監督は就任14年目での悲願達成だった。
第47回大会:
帝京大:快進撃の連覇達成
大学選手権に入った
帝京大は、強力FWを全面に押し出す戦法で
関東学院大を39-13で、慶応義塾大をも38-7と圧勝し、準決勝戦では
東海大を36-22で破り決勝に進出。一方、
早稲田大も大阪体育大を94-7で、関西学院大を62-12で破り、準決勝戦では明治大に74-10で大勝し、爆発的な攻撃力で決勝に臨んだ。
決勝戦では、
早稲田大の強みはSO山中を軸にした高速BKの展開力であり、
帝京大はこれを封じるべくLOティモシー・ボンド、FLヘンドリック・ツイを軸にボールをキープしゆったりとしたテンポで攻めながら、機を見て展開する戦法を取った。
早稲田大は立ち上がり早々立て続けに反則をとられ、自陣に釘づけとなり主導権をにぎることができず、前半6分
帝京大はWTB富永の縦突進でできたラックからFL吉田が防御の薄くなった左サイドに走込み、SH滑川が正確なパスを送り先制トライ。更に12分にSO森田がPGを決め、ラインアウト、スクラムでも圧力をかけ
早大の攻撃起点を徹底してつぶした。
早稲田大も23分FB井口のカウンターアタックからチャンスを作り、PKからの速攻でFB井口がトライを返した。後半も
帝京大はスクラムで圧力をかけん、ブレイクダウンでも激しく前に出て、タックルも確実に
早稲田大を押し込んで倒し、
早稲田大にチャンスを与えない。さらに11分、27分にSO森田がPGを決め17-7とリードを広げ、
早稲田大の反撃をWTB中濱1トライに抑えて逃げ切った。抜群のボールキープ力と渾身のタックルの成果と言える決勝戦である。
第48回大会:
帝京大:大会史上2校目の三連覇
帝京大の三年連続での優勝は1982年度から84年度の同志社大学以来の快挙である。
関西大学Aリーグ1位の
天理大はBKの活躍で法政大、慶応義塾大など関東の伝統校を次々に破って24年ぶりのベスト4入りし、準決勝ではSO立川を軸にTBKが攻撃力を爆発させて国立競技場を沸かせ、42-17で
関東学院大を破り決勝戦に向かった。
筑波大は1回戦で
東海大を下し、2回戦でも明治大に対し終始主導権をにぎり、得点こそ11-9と伸びなかったが、攻め続けて2回戦の壁を突破し、準決勝戦に進出したが
帝京大に29-3で破れた。
決勝戦は強力FWの
帝京大と高速BKの
天理大とによって1月8日に国立競技場で行われた。前半16分、
天理大は
帝京大ゴール前のスクラムから右オープンに展開しSO立川とハベアがダミーシザースしブラインドサイドから走りこんだWTB木村が先制トライをあげた。その後、
天理大がハイパント処理をもたつくと
帝京大はボールを奪って一気に連続攻撃し、ゴール前のラックからNO8李がトライ7-5と迫った。
帝京大は強力FWで前進し、機を見てBKを走らせる戦い方に徹したが、
天理大も粘り強く守り、ボールを奪い返すとBK展開で切り返す一進一退を繰り返すも32分
天理大ゴール前のラインアウトからモールを押し込みFL大和田がトライ、
帝京大が12-7で前半をリードして折り返した。後半に入って、スコアの動きは膠着状態が続いたが、互いに持ち味を出し合ったゲーム展開で観客席を飽きさせなかった。31分
天理大は自陣からSH井上、SO立川ボールを繋ぎ、最後はLO田村がタックラーを2人3人とかわしてWTB宮前にパス。12-12の同点に追いついた。38分、
天理大はラックで手を使うペナルティ、
帝京大SO森田が狙ったPGは、ゴールポストに当りながら入るという劇的な幕切れとなった。
第49回大会:
帝京大:前人未到の四連覇
今大会より、各出場校の試合数の増加、また実力の接近した大学同士の試合を増やすことで大学ラグビーの強化を図るべく「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」の大会方式を変更した。
○出場チーム数:18チーム
○ファーストステージ:
3チーム:九州学生リーグ1部1位校、東海・北陸地区代表X中四国地区代表の勝者、東北地区代表X北海道地区代表の勝者
○セカンドステージ:
関東大学対抗戦A1-5位、関東大学リーグ戦1部1-5位、
関西大学Aリーグ1-5位およびファーストステージ1位の16チームによる4グループのプール戦を実施し、各プール1位チームがファイナルステージに進出
○ファイナルステージ:
各プール1位の4チームによるトーナメント制、組み合わせは抽選方式による
今大会は、出場チームを18に拡大し、先ずファーストステージ3チームが対戦。これを勝ち抜いた福岡工業大を含めた16チームが4組に分かれてセカンドステージ総当たり戦を行い、それぞれの1位がファイナルステージに進んだ。それぞれのプールで3勝をあげた各チームによるファイナルステージの準決勝戦、
帝京大は38-10で
早稲田大を、
筑波大は28-26で
東海大を破り決勝戦へ駒を進めた。
帝京大は安定したセットプレーを起点にFWや権、新井の両CTBの縦突進でボールを前に運び着々とトライを重ねた。
筑波大も前半32分WTB福岡がタッチライン際で上げたショートパントを自らキャッチしてトライを返すなど見せ場を作ったが、試合の流れを支配したのは
帝京大だった。関東大学対抗戦の対戦時には
筑波大に敗れていただけに
帝京大の喜びも一入。
第50回大会:
帝京大:盤石の五連覇
大会方式が変わって2年目の今大会は11月7日にファーストステージが開幕。
東海大学リーグの朝
日大学(岐阜県)が初めて1位となりセカンドステージに進出した。16チームを4つのプールに分けて行われたセカンドステージは実力接近の好試合が相次いだ。特に、プールCでは最終節まで1位通過チームが読めない白熱の順位争い(3チームが2勝1敗)となったが、最終的には慶応義塾大が勝点で上回ってファイナルステージに進んだ。
準決勝第1試合は、スクラムで優位に立った
早稲田大が、後半相手ボールを押し込みSH岡田がトライ15-8と突き放し、更に2トライを追加して29-11で
筑波大に勝利。
第2試合は、王者
帝京大に対して慶應義塾大が健闘し、接戦を繰り広げた。後半、
帝京大はSO松田、HO坂手の連続トライで24-7とリードを広げたが、慶応義塾大もFWの平均体重で10kg劣る中で最後まで奮闘し観客席を沸かせた。
決勝戦は大方の予想通り
早稲田大対
帝京大となり、
早稲田大はキックオフ直後FL布巻の突破からWTB荻野が約40mを走りきる先制トライを挙げ、5連覇を目指す
帝京大にプレッシャーをかけた。しかし、
帝京大は慌てず12分ゴール前ラインアウトモールからLO小瀧がトライを返し、続いて23分ゴール前の密集サイドから低く構えるタックルの上を越えてPR深森がトライ12-7と逆転。
帝京大は後半の立ち上がりには小瀧の突進からWTB磯田がトライ、続いて、15分にはFL杉永の前進からSO松田が抜け出しトライ34-10。
早大も反撃しWTB荻野、CTB坪郷のトライで追い上げたが届かず41-31で
帝京大は5連覇を成し遂げた。
第51回大会:
帝京大:決勝戦史上最多得点で6連覇
ファーストステージの東北学院大学対福岡工業大学で幕を開けた全国大学選手権大会は16チームによるセカンドステージを経て、
帝京大、慶応義塾大、
筑波大、
東海大がベスト4に勝ち残り、ファイナルステージに進出。
決勝戦は東京都調布市の味の素スタジアムで行われた。序盤は
筑波大も接点の強さで一歩も引かずに渡り合ったが、前半7分
帝京大は筑波陣深くの相手ボールのスクラムで圧力をかけ、SH流がこぼれたボールを拾って先制トライ。21分にはFB森谷が右中間にトライ。25分ターンオーバーからボールを展開しHO坂手、WTB磯田にパスが渡りトライ21-0とした。後半、筑波もWTB福岡がトライを返したが、以降は
帝京大が圧倒する展開となり50-7と圧勝した。
第52回大会:
帝京大:腰の据わった戦いぶりで七連覇達成
頂点までの道のりは平坦ではなかった。関東大学対抗戦で
筑波大に敗れ学生相手の連勝記録が50でストップし、大学選手権ではセカンドステージ最終節でHO坂田が左肘を脱臼。さらに決勝直前にはBKの軸であるFB森谷までもが左膝の前十字靭帯断裂で戦列を離れた。苦しんで苦しんで達成した7連覇の偉業だからこそ、これまでの優勝とは違う達成感があった。最後の挑戦者
東海大と対峙した決勝戦は、相手の渾身の攻守に圧力を受け、先制点を許す苦しい展開。しかし、ここからが揺るがぬ王者の真骨頂だった。5-5で折り返した後半開始早々、ディフェンスで猛烈なプレッシャーをかけ反則を誘発、PGで勝ち越すと、6分にはキックレシーブを起点に連続攻撃を繋ぎきってFB重がインゴールへ。これまで経験してきた場数の差を感じさせる腰の据わった戦いぶりで
東海大を27-17と突き放し、
新日鉄釜石と
神戸製鋼が打ち立てた7連覇の金字塔に肩を並べた。
第53回大会:
帝京大:八連覇の金字塔
今季の大学選手権は関西勢の活躍が目立ち、
天理大が慶應義塾大を29―24で破り、同志社大が
早大を47-31で退け、ベスト4に進出したほか、関西3位の京産大が2回戦で
明大を26-22で下し、関西から出場した3校がすべてベスト8に顔をそろえた。
決勝戦はそれぞれ関西勢を破った
帝京大と
東海大で行われ、肉体と魂のぶつかり合う音が、秩父宮ラグビー場の隅々まで響き渡った。2017年1月9日決勝戦に上がった両校はラグビーの醍醐味を存分に表現しながら80分を戦い抜いた。
東海大は前半6分ラインアウトからモールを押し込み、連続攻撃からHO大塚が先制トライをあげた。その後は優位に立つスクラムで
帝京大をゴールライン直前に釘づけにし17分スクラムを押し切ってNO8テビタ・タタフがトライ、14-0とリードした。しかし、
帝京大は慌てず34分松田がインゴールに蹴り込んだボールをNO8ブロディ・マクカランが押さえて14-7に。39分には、波状攻撃からCTB矢富がトライ、松田のゴールも決まり同点に、そのまま前半を終了した。
後半も白熱の攻防となった。2分、
東海大はSH湯本のインターセプトからトライ19-14とリード。15分、今度は
帝京大CTB矢富のトライで同点とすると、23分にはWTB吉田がトライ26-19を逆転、更に29分SO松田のインゴールへのキックをWTB竹山が抑えて33-19を突き放し、
帝京大は大学選手権前人未踏の8連覇を達成。