全国高等学校ラグビーフットボール大会(花園大会87回から)


 87回大会は51校が参加し、熱戦を繰り広げたが、2大会連続4回目の決勝進出で、東福岡高校が悲願の全国大会初優勝を成し遂げた。またこの大会では、二段階で組んでいたスクラムを8人一斉で組むようになりました。
 88回大会は四連覇達成から4大会振りに復活常翔啓光学園が7回目の51校の頂点に立った。また御所工・実業は激戦奈良県の予選で天理を破り、4回目の全国出場で初の準優勝となった。この大会はモールが激減し、ゲームマネージメントの為、キックの重要度が増し、ボールがよく動いて停滞の少ない攻撃が特徴であった。
 89回大会は2019年の日本でのW杯開催決定、2016年からのオリンピック男女7人制競技の正式決定と日本のラグビー界に明るい話題が続く年に行われ、東福岡が圧倒的な強さで2回目の優勝を果たした。この大会では1、2年生の若い選手達の活躍が目立った大会でもありました。
 90回大会は記念大会として出場校が4校(埼玉・神奈川・愛知・福岡)増の55校で開催された。記念大会らしく多くの激戦が繰り広げられ、決勝戦も桐蔭学園と東福岡が互いに譲らず31対31で引き分け、両校優勝という劇的な形で幕を閉じました。両校優勝は第17回大会、第27回大会、第68回大会(決勝戦中止)に次ぐ4回目でありました。
 91回大会は出場校51校に戻り、東福岡が3連覇、国内公式戦80戦無敗、大会5試合での通算得点292点と驚異的な強さを見せつけた大会でありました。また3月11日東日本大震災で被災した東北6県の代表校も健闘しました。
 92回大会は4連覇の呼び声が高い東福岡をどのチームが破るかが注目されました。まず3回戦で尾道が終了間際まで6点のリードをしていたのですが、東福岡がロスタイムに中央にトライ、ゴールが決まり1点差で準々決勝に進みました。準々決勝では茗溪学園が前半19点リードされた得点を跳ね返し後半26点を上げ東福岡を破りベスト4を勝ち取りました。茗溪学園の「絶対諦めない、笑顔で戦おう」は印象的でした。決勝は近畿対決、私立校・公立高校の戦いでした。攻守のバランスがとれた常翔学園、堅い防御の雑草集団御所実業、両チームとも持っている力を十分発揮し、一万人の観客に感動を与える素晴らしい決勝戦でした。結果は常翔学園が17年ぶり5度目の優勝を成し遂げました。またこの大会は花園50回目の大会でもあり、50年前の花園決勝カードの再現と天理VS北見北斗の試合が当時の出場選手を中心とした60代後半のOBで編成されたチームで行われました。
 93回大会は「花園から世界へ」を合言葉に開催され、東海大仰星が7大会振り3回目の優勝を果たしました。今大会の特徴はルール変動に伴いスクラム・モール・ラックでの停滞が極端に減り、ボールがよく動き、選手の走力とフィットネスがより重要になってきたこと、観客数が大幅に増、雷鳴で試合が20分間中断という初めての出来事も起こりました。
 94回大会は「花園から世界へ」を合言葉に51校が激戦を繰り広げました。開幕前の予想通り、東福岡が圧倒的な力を発揮して優勝、「春の選抜大会」「夏のセブンス大会」と合わせて史上初の「高校3冠」を成し遂げました。もう一つの出来事として、71回大会から93回大会まで実に23年間開会式の入場行進で各校のプラカードを持って行進していただいた大阪の女子校梅花高校の生徒の皆さんが役割を終了されました。本当にご苦労様でした。
 95回大会は記念大会として記念枠4校を含め、55校で行われました。4校の選考の基準は地方大会の決勝で強豪校に敗れた好チームに出場機会を与えることを目的に全国大会で過去10年間にベスト4入りの実績を持つブロックに各1校の出場枠が与えられ、各ブロックからの推薦をもとに大会実行委員会の選考委員会が出場校を決定するというものでした。(複数出場している都道府県のチームは除く)
 その結果、
 東海大相模(神奈川2位、関東ブロック推薦)
 京都成章(京都2位、近畿ブロック推薦)
 広島工(広島2位、中国ブロック推薦)
 筑紫(福岡2位、九州ブロック推薦) が出場しました。
 今大会も昨年と同様55校が激戦を繰り広げ、東海大仰星が2大会ぶり4回目の優勝、昨年に続き「高校3冠」を達成しました。また、天候にも恵まれ総入場者数が12万人を超え、多くの観客の皆さんに感動を与えました。
 いよいよ2年後に迫ったラグビーワールドカップ日本大会に向け、96回大会が51校出場で開催されました。昨年、一昨年に高校3冠を成し遂げた東海大仰星と東福岡の決勝戦、激戦を制したのは東福岡2年振り6回目の優勝、2度目の「高校3冠」を達成されました。高校ラグビーの進化を感じる一方、高校ラグビー競技者の減少、大会参加校の減少が目立ってきた大会でもありました。
 ワールドカップが来年に迫った97回大会は、19年振りの大阪勢対決の決勝戦、手に汗握る接戦の末、東海大仰星が大阪桐蔭を降し2大会振り5回目の優勝を勝ち取りました。この年花園ラグビー場は改装工事の真っ最中。選手、関係者にご迷惑をおかけしました。
 生まれ変わった「聖地・花園」での98回大会、「平成最後」の大会として深く記憶に残る大会となりました。決勝は「桐蔭対決」。大阪桐蔭が26対24の僅差で桐蔭学園を降し、悲願の初優勝を遂げました。出場13回目で初の日本一。
 100回大会まであと2年。色々と準備を行い、一世紀に一度の大会が素晴らしい大会となるよう、祈願しています。
(全国高等学校体育連盟ラグビーフットボール専門部副部長 天野寛之)

全国高等学校ラグビーフットボール大会決勝記録
回数優勝スコア準優勝場所
第44回昭和40年秋田工63天理高花園
第45回昭和41年盛岡工高65天理高花園
第46回昭和42年天理高1410京王高花園
第47回昭和43年福岡電波115目黒高花園
第48回昭和44年秋田工266目黒高花園
第49回昭和45年目黒高2016諫早農花園
第50回昭和46年盛岡工高209天理高花園
第51回昭和47年天理高1713目黒高花園
第52回昭和48年目黒高270花園高花園
第53回昭和49年目黒高198大分舞鶴花園
第54回昭和50年大分舞鶴148花園高花園
第55回昭和51年国学院久我山259目黒高花園
第56回昭和52年目黒高299花園高花園
第57回昭和53年大阪工大高2012秋田工花園
第58回昭和54年国学院久我山406黒沢尻工花園
第59回昭和55年目黒高1614国学院久我山花園
第60回昭和56年伏見工高73大阪工大高花園
第61回昭和57年大阪工大高134秋田工花園
第62回昭和58年国学院久我山310目黒高花園
第63回昭和59年天理高1816大分舞鶴花園
第64回昭和60年秋田工94相模台工花園
第65回昭和61年大東大80本郷高花園
第66回昭和62年国学院久我山226熊谷工高花園
第67回昭和63年秋田工94相模台工花園
第68回平成元年茗溪学園○○大阪工大高花園
第69回平成2年天理高144啓光学園花園
第70回平成3年熊谷工高198天理高花園
第71回平成4年啓光学園288国学院久我山花園
第72回平成5年伏見工高1510啓光学園花園
第73回平成6年相模台工196東農大二花園
第74回平成7年相模台工2712長崎北陽台花園
第75回平成8年大阪工大高5010秋田工花園
第76回平成9年西陵商高2625啓光学園花園
第77回平成10年国学院久我山3329伏見工高花園
第78回平成11年啓光学園1512大阪工大高花園
第79回平成12年東海大仰星317埼工大深谷花園
第80回平成13年伏見工高213佐賀工高花園
第81回平成14年啓光学園5017東福岡花園
第82回平成15年啓光学園2620東福岡花園
第83回平成16年啓光学園150大分舞鶴花園
第84回平成17年啓光学園3114天理高花園
第85回平成18年伏見工高3612桐蔭学園花園
第86回平成19年東海大仰星195東福岡花園
第87回平成20年東福岡127伏見工高花園
第88回平成21年常翔啓光学園2415御所工業・実業花園
第89回平成22年東福岡315桐蔭学園花園
第90回平成23年桐蔭学園○3131○東福岡花園
第91回平成24年東福岡3624東海大仰星花園
第92回平成25年常翔学園1714御所実業花園
第93回平成26年東海大仰星1914桐蔭学園花園
第94回平成27年東福岡575御所実業花園
第95回平成28年東海大仰星3731桐蔭学園花園
第96回平成29年東福岡2821東海大仰星花園
第97回平成30年東海大仰星2720大阪桐蔭花園
第98回平成31年大阪桐蔭2624桐蔭学園花園
○両校優勝
※第68回決勝は天皇崩御のため中止 両校優勝