「サニックスワールドラグビーユース交流大会」について


 本大会は2000年より開催され、国内外の高校生単独チームの国際大会として行ってまいりました。おかげさまで2016年で第17回を数えることができ、世界でも稀な大会方式に「高校生のワールドカップ」と呼ばれるほどの大会に成長することができました。
 開催の経緯は、1997年より3回行われました、各国の元代表選手による「ワールドラグビークラシック」に始まります。その際、当時の株式会社サニックス 宗政伸一代表取締役社長の「将来のある高校生の国際大会をした方がラグビー界の発展につながる」という発想から、当時の東福岡高校ラグビー部監督の谷崎氏のアドバイスもあり、2000年に完成したグローバルアリーナで「ワールドラグビークラシック」と「サニックスワールドラグビーユース交流大会」が同時開催され、2001年からは本大会の単独開催となりました。
 開催当初は国内、海外のチーム数にばらつきもありましたが、2002年(第3回)から日本協会主催としていただきました。日本協会から各国協会への案内をしていただくようになってから、海外にも認められるようになり、現行の海外8チーム、国内8チーム、計16チームによる大会ができるようになりました。大会は9日間で6試合と選手にとっては過酷なスケジュールとなっていますが、ご理解いただき運営できております。
 2011年には大会の前月に発生した東日本大震災の影響で、安全を考慮した海外4チームから参加辞退を受け厳しい状況となりましたが、国内校のご理解とご協力により16チームで行なうことができました。
 2013年からは女子ラグビーの発展とセブンズがオリンピック正式競技になったことを受け、女子セブンズも同時開催し、女子選手にも国際大会の場を提供することができています。
 運営としましては、開催当初は海外各国の異なる文化が一堂に会しますので、それに対応することに奔走しておりました。生活スタイル、食生活、時間に対する感覚など、全く日本のスタイルとは異なることばかりで苦労もありました。しかし、グラウンド上では同じルールのもとで行われる高校生の全力のプレーと試合後の交流には感動を覚え、運営の苦労を忘れさせてくれたことを記憶しています。そして回を重ねるごとに運営方法、考え方を改善し続けてきたことで運営スタッフ、施設スタッフも柔軟に対応できるようになりスムーズな運営ができるようになってきました。
 本大会の目的として、競技力の向上と発展はもちろんですが、ラグビーを通しての青少年の健全育成、国際文化交流も掲げております。海外チームは日本のチームに学び、日本のチームは海外チームに学びます。その例として、試合前、海外チームは自然と10mラインに並び、挨拶をするようになりました。試合後、日本のチームは相手チームに対し通路を作って相手と健闘を讃え合い握手したり、両チーム混ざって写真撮影をします。それまでそれぞれの国ではなかっただろうことが、この大会では選手たちの行動によって自然発生します。また、全チームが集まって行なうウェルカムパーティーでは、各チームに3分間のパフォーマンスを事前に依頼するのですが、その質も年々向上していきました。近年ではあるチームのパフォーマンスに賛同しそこに飛び入り参加することも少なくありません。ある国内校が「We are the World」を流した際には、座席の目印として準備していた国旗が描かれたボードを次々に手にして大合唱になった光景は、まさにラグビーで世界平和が実現できるのではないか、と思わせるほどの感動を覚えました。そして、これこそが選手たちによって残された本大会の【レガシー】であると感じました。
 この大会はスポーツ界のために、そして教育のために続けなければならないものだと考えています。今後も主役である高校生選手が全力でプレーできる環境を整え、彼らの将来につながるステージを準備し、「サニックス」でしか経験できない空間を作っていきたいと思います。
 最後になりますが、(公財)日本ラグビーフットボール協会、九州ラグビーフットボール協会、福岡県ラグビーフットボール協会の皆様には、いつも大会運営にご尽力いただき、改めまして感謝申し上げます。ありがとうございます。
(一般財団法人サニックススポーツ振興財団 渡邊敏行)

サニックスワールドラグビーユース交流大会
【男子】
回数優勝準優勝場所
第1回2000キングススクールAUSボールルースハイスクールRSA福岡
第2回2001グレーカレッジセカンダリースクールRSAセントピーターズカレッジNZ福岡
第3回2002ポーランド アグリカルチャルカレッジRSA仙台育英高校JPN福岡
第4回2003ロトルアボーイズハイスクールNZトンガカレッジTGA福岡
第5回2004ロトルアボーイズハイスクールNZ東福岡高校JPN福岡
第6回2005クライストチャーチボーイズハイスクールNZサウスポートスクールAUS福岡
第7回2006クライストチャーチボーイズハイスクールNZモニュメントハイスクールRSA福岡
第8回2007ウエストフィールズスポーツハイスクールAUS東福岡高校JPN福岡
第9回2008グレンウッドハイスクールRSAタルブハイスクールFRA福岡
第10回2009ダックスランドハイスクールFRA東福岡高校JPN福岡
第11回2010ハミルトンボーイズハイスクールNZトルロカレッジENG福岡
第12回2011ハミルトンボーイズハイスクールNZアイヴィーブリッジコミュニティカレッジENG福岡
第13回2012ケルストンボーイズハイスクールNZトルロカレッジENG福岡
第14回2013セント ケンティガンカレッジNZハートブリーカレッジENG福岡
第15回2014ハミルトンボーイズハイスクールNZパールボーイズハイスクールRSA福岡
第16回2015ポールルースジムナジウムRSAブリスベンボーイズカレッジAUS福岡
第17回2016グレンウッドハイスクールRSA東福岡高校JPN福岡
第18回2017リセボルデバッスFRAマウントアルバートグラマースクールNZ福岡
第19回2018ラトゥ カダヴレヴスクールFIJヘイスティングスボーイズハイスクールNZ福岡
 
【女子】
回数優勝準優勝場所
第1回2000関東選抜JPN福岡レディースJPN福岡
第2回2001関東選抜JPNサンシャインコーストスティングレイズAUS福岡
第3回2002ハミルトンガールズハイスクールNZ福岡レディースJPN福岡
第4回2003追手門学院高校JPN栃木県ストロベリーズJPN福岡
第5回2004セントマリーズカレッジNZ國學院栃木高校JPN福岡
第6回2005石見智翠館高校JPNハミルトンガールズハイスクールNZ福岡