2-2 TMOシステム導入の評価


 TMOシステムの導入は、判定の精度が上がり、プレーヤー及び観客が納得する判定を提供する目的を果たすことができている。その反面、判定時間中の試合中断は、ゲームの進行を遅らせること、レフェリングレベルの低下及びレフェリーの主体性、判定の尊重においてラグビーの伝統を損なうことが懸念される。
 表-4は、RWCにおけるTMO判定の回数をまとめたものである。
 TMOシステム導入から大幅に回数が増加している
表-4
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 2015年RWCでは、レフェリーのトライ宣告の後に、再度TMO判定を行い、トライ判定が覆る事象が発生した。
 ゴール前のモールからのインゴール内タッチダウンの確認は、マッチオフィシャルも確認が困難であり、TMO判定が求められるが、トライに繋がる前のプレーの確認(オフサイドやスローフォワードの有無)や不正なプレーの判定をTMO判定に委ねるのは、マッチオフィシャルの主体性や判定の尊重を損ねることに繋がり、TMO職務範囲の拡大と規定した試験実施ルールに関して十分な検討評価が望まれる。
(小畔、岸川)