さらに活動を効率良く行うため平成21年4月、既存の安全対策委員会を吸収する形で新たに安全対策推進委員会を立ち上げた。内容を充実させるため、またきめ細かく受講者に浸透させるため、それまで
日本協会主導で行ってきた安全推進講習会を関東協会、関西協会、九州協会の三地域協会主導で行うことにした。講習会の内容は「安全な技術の習得」「怪我をしないための体づくり」等を根幹として医学的側面を加味したもので、各都道府県安全対策委員長、医務委員長、コーチトレーナーにより講習内容を伝達して頂いている。これまでの主な講習内容は「
日本版ラグビーレディの活用」「正しいタックルおよびその指導法」「体幹トレーニング」「ラック」「ラグビーの脳振盪」である。平成22年、委員会の名称を一般に浸透しやすくするために再度、安全対策委員会に変更した。平成27年より、講習内容をより効果的にすることを目的に、インターネットを使った事前講習を受講したうえで講習会に参加する新たな取り組みをスタートさせた。
また、平成24年WRから脳振盪の扱いをより慎重に行う旨の通達が出されたことにより、
日本協会として様々な対応を行っている。メディカル委員会と連携し新たに、脳振盪および脳振盪の疑いを判断し競技復帰まで段階的に復帰プログラムを実施するための資格(ヘルスケア専門家)を独自に制定。現在、
日本体育協会の協力も得て認定講習会を年に1度実施し、脳振盪関連事案に対応できる人材育成を行うとともに、安全推進講習会では脳振盪に関して重点的に取り上げて講習を実施している。さらにトップリーグにおいてHIA制度の実施に伴い(詳細は後述)、対応できるドクターの養成等行うだけでなく、アンチドーピング委員会とも連携し啓蒙活動を含む様々な活動の協力を行っている。
この10年間「重傷事故撲滅」「安全なラグビーの普及・徹底」の活動を継続して行ってきたが、その努力が実り減少傾向を示し始めている。これは三地域協会が中心となり安全講習会やその他の地道な活動を強化していった結果、現場レベルで指導者の意識改革がなされ始めてきたからであろう。更なる重症事故の減少、根絶を目指すためには協会、指導者、選手はもちろんのこと、ラグビーに関わるすべての関係者が一体となって総力を挙げて取り組む努力が必要である。