平成19年度は、日本ラグビーフットボール協会は自らの経費でドーピング検査60検体(競技会検査52検体、競技会外検査8検体)を実施し、さらに日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の文科省委託事業の経費で競技会検査52検体を実施した。そのほか、国内のラグビー選手に対しては、JADAが39件の競技会外検査、International Rugby Board( IRB)が12件の競技会外検査と4件の競技会検査を実施した。平成20年度は日本スポーツ振興センターのスポーツ振興くじ助成(3/4助成)とJADAの文科省委託事業で競技会検査を128検体実施した。そのほか、国内のラグビー選手に対しては、JADAが25件の競技会外検査、IRBが4件の競技会検査を実施した。平成21年2月にドーピング違反が1例発生した。日本ドーピング防止規律パネル決定は資格停止3ヶ月間であったが、違反物質が大麻であったため、日本ラグビーフットボール協会は国内公式試合の出場資格の無期限停止を科した。
平成21年度以降は、日本ラグビーフットボール協会は、日本スポーツ振興センターのスポーツ振興くじ助成(9割助成)をうけて、国内で実施されるラグビー競技会検査を実施してきた。また、国内で実施される競技会外検査は、JADAが日本オリンピック委員会経費(1割)とスポーツ振興くじ助成(9割)で実施した検査とWorld Rugby(平成26年までIRB)が実施した検査である。平成21年度は日本でジュニア世界選手権が開催されたため、IRBによる競技会外検査が82検体実施された。平成24年度と25年度はJADAによる競技会外検査が年間190件前後実施された。
競技会検査が実施された試合は、平成19年度~平成23年度は、トップリーグ、大学選手権、日本選手権、およびテストマッチであった。平成23年4月にIRBによって実施された競技会外検査で日本代表選手に陽性が1例発生した。この陽性例は、意図的なドーピングではなくアンチ・ドーピングの知識不足による陽性であり、また、同年3月まで大学生であったことから、大学生に対するアンチ・ドーピング活動を強化する必要があると判断し、平成24年度からは、従来のドーピング検査(競技会検査)実施対象に大学チームの定期戦(関東大学対抗戦A・リーグ戦1部、関西大学Aリーグ、九州学生リーグⅠ部)を加えた。その後、ドーピング違反例は平成26年度に1例発生したが、トップリーグ所属選手が治療薬を治療使用特例(TUE)の手続きなしに誤用したものであった。
平成19年度~平成28年度のラグビー選手にたいして国内で実施されたドーピング検査の件数の推移を図1に示す。この間のドーピング違反者は上記の3名のみである。(図1)