上三川町デジタルアーカイブ

上三川の民話

美女弁天

昔のことだったト
上三川にはナ、大きな川が流れていてナ
その周りではいい作物が取れる畑がいっぱいあったんだとヨ
その川の流れに沿ってナ、人々が住み村ができていたんだト

上三川の西の方にはナ、田川が流れていてナ
その川に沿ってできた村、今の梁という所にはナ
お城があったト

お城にはナ、
立派な庭があってご利益のある弁天さまが祀られていたト

その弁天さまの前にはナ
これまたきれいな水の湧く池があってヨ
お城の人たちは、弁天さまにお参りをすませるとナ
「きれいになりますように」とその池の水、
手ですくって顔を洗ったもんなんだト

心の広いお殿さまはヨ、
お城の人たちだけではもったいないとナ
近くの女たちにもお参りを許してくれたもんでナ
うわさを聞いて我も我もとお参りに来たんだト
若夫婦はもちろん、腹のでっかくなった嫁さま達もヨ、
お参りしてナ
「器量のいい子が生まれますように」と願かけたト
あっちこっちからやって来て、たいそう賑わったとサ

この水のお陰かもしんねえナ
梁に住む人たちはもちろん、近くの人はみんなとっても
きれいな人が多いんだト

お殿さまの子孫、伊澤家にはヨ
今も昔のまんまの姿で弁天さまが祀られていてナ
弁天さまのお祭りには家族そろって家内安全を祈るんだト

今では池のあとはすっかりわかんなくなっちまったがナ
もし今も池があって、きれいな水が湧き出ていたら
たくさんの人がお参りに来てナ
さぞかし賑わっているだろうにナ

おしまい