(4)議会改革

 新しい市議会は、10月から始動した。議論を重ねる中で、1990年(平成2年)12月、「本市で発生した一連の不祥事件に鑑み、今後の本市における政治及び行政のあり方等を模索する」目的で、川西市議会は「開かれた市政検討委員会」を設置する。各会派から選出された10人の委員で構成され、「地方自治法百条調査権の発動」「倫理条例の制定」「情報公開制度」「委員会の公開」等11項目について、調査・検討し、その結果を提言しようとするものだった[注11]。委員会では、研修会、委員会討議などを行い、1991年(平成3年)3月に225ページの「調査・検討報告書」が議長に提出された。報告書の主な内容は次のとおりだった[注12]。

表10-01 開かれた市政検討委員会による「調査・検討報告書」の主な内容
◆地方自治法百条調査権の発動について
現在、一連の買収・贈収賄事件が係争中であり、証人尋問、証拠書類の提出要求等において非常に困難であり、調査の実効性が期待できないことから、これを発動すべきではないとの考え方が集約された。
◆倫理条例の制定について
公職にある者が、一定、「倫理」を共通認識するため、また、公務遂行上の「公と私の利益の衝突」をさけるためのセルフコントロール機能として、倫理条例は必要であり、今後、条例制定に向けた具体的検討作業に入ることとした。
◆情報公開について
すでに執行機関において「情報公開条例」制定の方針が示されており、議会としても、広くその審議の過程を住民に知らせるため、保有する公文書の開示はもとより、これまで制限公開とされていた委員会についても公開の方向性を打ち出し、関連する議会規定を見直すこととした。さらに、議会で使用されている用語についても、見直しを加えていくこととした。

 

 この報告書を受けて、市議会は、1991年(平成3年)5月、倫理条例と情報公開条例の制定に向けて、それぞれの具体的検討を進めるため、「倫理・情報公開条例検討委員会」を設置した。この委員会は、各会派代表者10人で構成し、委員会討議や研修会を開いて、各条例の素案づくりなどを進めた[注13]。

 同年10月には、倫理条例、情報公開条例、議会の公開等の検討テーマについて、170ページにも及ぶ『開かれた市政へ-倫理・情報公開制度検討報告書-(中間報告)』がまとめられた。主な内容は次のとおりだった[注14]。

表10-02 『開かれた市政へ-倫理・情報公開制度検討報告書-(中間報告)』の主な内容
◆倫理条例について
10月臨時市議会上程を目処に、条例制定の基本事項が示された。
◆情報公開条例について
市の情報公開懇話会に諮問するための基本事項について、市と議会の考え方の調整協議の経過等がまとめられた。
◆議会における会議公開について
1992年(平成4年)1月段階から本格的検討に入ることが確認されている。その暫定的・試行的措置として、すでに実施されている検討委員会での傍聴者への資料提供の内容について述べられている。

 

 1991年(平成3年)10月22日に開催された臨時市議会では「倫理条例」が上程され、次の内容で可決された[注15]。

表10-03 「倫理条例」の内容
【条例の名称】 川西市議会議員及び市長の倫理に関する条例
【適用対象者】 議員及び市長
【条例の骨子】 ①政治倫理基準…議員及び市長が市民全体の代表として市政に携わる立場から、遵守しなければならない基準を4点[注16]にわたり明文化
②市民の調査請求権…議員または市長が政治倫理基準に違反した疑いがある場合、これに関する書面を添えて、50人以上の連署をもって調査を請求できる権利を規定
③政治倫理審査会…市民の調査請求を審議する市長の附属機関として、市民である学識者6人と議員3人で構成する審査機関を設置
④関係者の釈明…議員または市長が贈収賄等有罪の判決を受け、なおその職にとどまろうとするときは、市民に対し説明会を開催し釈明できるとともに、この説明会が開催されないときは、市民には50人以上の連署による開催請求権を規定

 

 1992年(平成4年)10月には、川西市議会倫理・情報公開条例検討委員会から議長に対し、『開かれた市政へ-倫理・情報公開制度検討報告書-(最終報告)』が提出された。検討委員会は、1年5カ月にわたって延べ28回に及ぶ委員会を開催してきた。そして、「川西市政治倫理条例」が同年2月10日に、「川西市公文書公開条例」「会議公開制度」が同年10月1日にそれぞれスタートしたことによって、その役割を終え、今回の最終報告書の提出をもって発展解消されることとなった[注17]。

 なお、議会改革前から、議員が編集委員となって発行していた「川西市議会だより」でも、市議会について市民理解が得られるように分かりやすく解説するコーナーを設けるなどの工夫もしていった。