戦後、公民館や文化会館等での青少年や成人の社会人を対象とした教育である「社会教育」と呼ばれた分野は、社会教育法を根拠法令として、「学校教育」と区別された行政の視点での概念であった。その後、1981年(昭和56年)6月、中央教育審議会から答申「生涯教育について」が出され、家庭教育、学校教育、社会教育を総合的にとらえる提案がなされた。さらには、1986年(昭和61年)4月と1987年(昭和62年)4月に、臨時教育審議会から答申が出され、「生涯学習」という、学習する側の視点からの概念が示された。さらに、1990年(平成2年)6月には「生涯学習振興法」が制定され、「生涯学習」という概念が国でも自治体でも定着していくことになる[注42]。
◆中央図書館の開館
市立図書館の建設は、市にとって長年の課題であり、1980年(昭和55年)11月に基本調査を開始し、翌1981年(昭和56年)3月に『川西市の図書館建設基本構想にかかる調査研究報告書』が完成している。概要は次のとおりであった[注43]。
| 現 状 | 中央公民館に図書室が1969年(昭和44年)度から設置される。その後、地域公民館にも順次図書室が設けられていくが、地域公民館では週1回の程度の開室で、狭くて十分な蔵書スペースもなく、専任職員は中央公民館以外はいない |
|---|---|
| 整備計画 | 1.中央図書館…蔵書20万冊、延べ床面積約3,000m²の規模で、川西能勢口駅周辺に設置を 2.地域館…南部地区、萩原台・湯山台地区、多田地区、清和台地区、東谷地区の5館が必要 3.公民館図書室…地域館を設けるまでは暫定的サービスとして地域公民館図書室の内容を充実させて実施すべき(開室日の増加やブックポストの設置、予約の受付など) 4.移動図書館…移動図書車で市内巡回を 5.ステーション・ライブラリー…川西能勢口駅構内に中央図書館の窓口設置を 6.停本所…既存の地域・家庭文庫や公共施設の活用を 7.蔵書計画…市民20万人(昭和65年以降)の20%が登録し、登録者1人当たりの年間貸出数22冊と想定すると88万冊を目標に |
| 今後の課題と展望 | 1.準備室の早期設置 2.中央図書館の建設、公民館図書室の整備、移動図書館の新設について早期推進 3.図書館設置条例の制定 4.業務の一部委託 5.市民への啓発 |
| 委員会委員 | 小宮山 正(尼崎市立図書館長)、嶋田 勝次(神戸大学工学部助教授)、八木 哲浩(神戸大学教養部教授)、伊藤 昭治(神戸市立中央図書館奉仕係長)、安達 善行(川西市市長公室長)、今井 健(川西市教育委員会教育次長) |
これを踏まえて、1983年(昭和58年)1月から移動図書館「ともしび」号が運行を開始し、11か所のステーションを巡回した。巡回ステーションは順次拡大・再編成が行われた。1990年(平成2年)4月には図書館開設準備室が設置され、同年12月、川西市立図書館設置条例が公布された[注44]。生涯学習の基盤となる図書館の建設が始まった。そして、1991年(平成3年)4月、川西市立中央図書館が開館した。その概要は次のとおり[注45]。
| 所在地 | 川西能勢口駅南地区(Cブロック)市街地再開発事業で完成していた再開発ビル「アステ川西」4階・5階 | |
|---|---|---|
| 延べ床面積 | 2927.77m² | |
| 建設費 | 約27億円 【補注】図書館購入費 |
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| 蔵書 | 当初8万冊 【補注】蔵書収容能力20万冊 |
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| 諸室 | 4階 | 開架書庫、対面朗読室など |
| 5階 | 調査相談室、集会室、視聴覚室、資料室など | |
| 利用日時 | 月曜日~水曜日、金曜日 10時~19時 | |
| 土曜日、日曜日 10時~17時 | ||
| 休館日 | 木曜日、国民の祝日、年末・年始(12月28日~1月4日)、館内整理日(毎月末日。木曜日と重なる場合はその前日)、特別整理期間(毎年約2週間) | |
◆生涯学習センターの開設とレフネックの開校
生涯学習の時代に応え、1993年(平成5年)10月、生涯学習センターが開設された。その概要は次のとおり[注47]。
| 所在地 | 中央町の旧桜が丘幼稚園を改造 | |
|---|---|---|
| 延べ床面積 | 763m² | |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造2階建て | |
| 諸室 | 1階 | 2つの会議室、和室 |
| 2階 | 100人が収容できる講義室 | |
1994年(平成6年)5月からは、生涯学習センターで、生涯学習短期大学が開講した。愛称はレフネック(REHUNEC=「RE」CCURRENT<専門的な社会人の学習>、「HU」MAN<人間>、「NE」TWORK<団結>、「C」ITY<都市>の冒頭文字)。学長に木津川計・立命館大学教授を迎えた2年制短期大学を想定。学問的に深く広がりをもった学科を中心に、レベルの高い講義を設定して、2年間で40回の90分講義を開くことにした。1995年(平成7年)5月から始まる学科は次の3科目だった。
①先端工学科 - やさしく学ぶ身近な先端技術 -
②文化・芸術科 - 奥の細道へのいざない -
③史学科 - 日本古代史“謎”の断面を探る -[注48]
◆文化財資料館の開館
1993年(平成5年)11月、南花屋敷2丁目に川西市文化財資料館がオープンした。栄根遺跡から出土した長さ4.3mの大きな「木舟」をはじめ、弥生時代中期の近畿でも有数の大集落遺跡である加茂遺跡や勝福寺古墳などから出土した貴重な遺物を展示・収蔵している施設である[注49]。