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第二、鹿角の動物

一、概観

東北地方は本州の北端部にあり、ブラキストン線のすぐ南側にあるところから、南方系種の分布北限地帯であ

るとともに、北方系の種が一部残存する地域である。鹿角地方はこうした東北地方の一小地域にすぎないが、秋

田県の最も北東部にあり、奥羽山系の山々にかこまれ豊かな森林地帯が多いことや、湖沼・湿原・米代川水系の

清流など、自然環境に恵まれていることから、多種多様の動物の生息がみられる。しかしその分布の実態につい

ては、残念ながら未だ十分調査が進んでおらず、明らかでない部分が多い。分布の実態は県などの行政区分を基

準にするのでなく、地域的な地史や風土などの実情に適応して由来する点が多く、今後の調査はより広い視野か

ら行なわれることが期待される。

それでも近年、文化庁・環境庁・秋田県や自然保護団体などの企画で各地の調査・研究が行なわれ、多くの報

告がなされているので、それらの資料の中から鹿角地方に関する部分について、その概要を述べることとする。

汪日本における動物分布の境界線として、津軽海峡を横切って東西に引かれたブラキストン線が一般的によく知られ

ている。ただ、この境界線も絶対的なものではなく、ある種の動物についてはそれが分布境界線とはならないことも

わかっており、動物分布の複雑性を示している。しかし北海道に生息するヒグマ・クロテン・ナキウサギ・シマリス

などは本州には生息せず、ツキノワグマ・モグラ・サルなどは北海道にはいないなど、日本の多くの留鳥や哺乳動物

についてはおおむねブラキストン線が分布境界線となっている。