テキストを表示

〓モリアオガエル

モリアオガエルは、指趾に吸盤をもち、林中の池や沼の周辺の樹上にのぼって、水面にはりだした枝に白い泡

状の卵塊を産みつけ、この中でふ化したオタマジャクシが雨をまって洗い出され、水中に落ちておよぎだすとい

う興味深い繁殖の習性をもつ日本特産のカエルで、学術上からも貴重な動物である。篭屋氏によると、鹿角地方

における生息地も近年著しく縮少してきているという。そしてさらにその分布状況の推移について、次のように

二つの時期に分けて説明している。

第一期は第二次大戦から昭和三十年代前半までで、自然開発がまだ

それほど進展がなく、原生的自然林がなお広い地域を占めていた時代

で、この時期はモリアオガエルの分布は平面的には鹿角市一帯に及ん

でおり、垂直的にも平地から高山帯まで標高差一四〇〇メートル位の

範囲にわたって広がっていたものである。

第二期は昭和三十年代後半から現在までで、森林開発・観光開発の

名目で自然林・原生林が次第に姿を消し、原始的な森林生態系まで破

懐されていった時代で、それに関連するかのように、モリアオガエル

の生息範囲が狭くなり、今日では八幡平など一〇〇〇~一五〇〇メー

モリアオガエル(加藤竜悦氏撮影)

トルの高地、冷温帯~亜寒帯の比較的厳しい気候下に残る自然林地帯