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茅葺屋根の葺替

よいこ」の一つに茅葺屋根の葺替がある。早春、大勢の村人がその年の葺替の順番に当っ

た家に集まり、屋根の朽ちた茅を取除き、次に新しい茅で葺き替えるのである。暖房から

炊事まで囲炉裏を使うので、古茅は煤で真黒に汚れている。屋根を葺く人や運搬する人が声をかけ合って作業す

るので、作業場はお祭りのような騒々しさであった。

普通の家であれば、早朝から作業を開始し夕方には葺き了えるのであるが、大家では古茅の取除きと軒づけ〓

一日、葺替に一日を要する。軒づけというのは、軒先を麻がらで葺くことで、翌日その上に茅を厚く敷きならべ

る。古茅を川原の焼却場に運んで村方の作業が終り、後はその家の財力に応じて葺大工を入れ、大きな屋根鋏で

美しく整えるのである。

屋根の葺替はその村によって若干の違いがあるが、だいたい二〇年から三〇年毎に行われる。従って葺替を予

定する家では、肝入に願出て村の年中行事の中に組みこんで貰う必要があった。

屋根葺には膨大な量の茅と縄を必要とする。また村全体で作業をするのでその賄のため、多くの飯米を準備す

る必要があった。こうした物資の殆どは、親戚や村の各家々から持寄られた。従って葺替に当った家では、寄せ

られた茅・縄の量を計算し、不足分を整えておけばよかった。手伝人の賄も、煮しめ一重とかお握り何十人前と

いう具合に持寄ったものを配分し、自家では不足すると思われる分だけを用意した。

そのため各家々では平素から自分の家の規模によって必要量を見越し、毎年葺替に当った家に附届けしておく。

一種の茅無尽・縄無尽といった形であった。

〓久元年(一八六一)の、新斗米村米田善太郎家の屋根葺の際には、村内のみならず近隣各村の親類からも多