テキストを表示
一七年頃の不老倉
七年三月、大湯村戸長より県令宛に提出された「民行鉱山志料取調」によって、おう
よそ当時の不老倉鉱山の状況を知ることができる。
个老倉の鉱質は硫化銅で、僅少の銀分を含有する。掘採はもっぱら坑夫の人力と発破により、発破には硝石と
硫黄その他を調和した破裂薬を用いるとしている。坑夫一人一日の採掘量は、通常一〇貫目程で、現在における
一日の使役高は、男二〇人この賃金一七円五〇銭、女二〇人この賃金二円六〇銭である。
製鉱方は、炭末と粘土を調和して炉を構造し、吹革を用い職工の手技をもって鉱石を熔解し、その鉱滓を〓盗
して麁銅を製する。麁銅と鉱滓との間に一種の未決鉱を分離し、これをかわという。焼化再煉してさらに麁銅を
製出する。鉱石六〇〇貫目を職工一名・助手一名・附属三名の一日の事業として、これを一吹という。但し鉱石
は熱焼ののち鎔解し、焼鉱の炉は土石をもって築造、一炉につき鉱石二〇〇貫目以上三〇〇貫目を熔焼する。鉱
石一〇〇貫目につき麁銅一五貫目程の製出となる。
鉱石六〇〇貫目を製するのに木炭一六〇貫目を費消し、その代価は木炭一〇貫目につき金一二銭、鉱石三〇〇
貫目を焙焼するには薪五尺五寸立方(
長さ二
尺五寸
)、代価は薪一尺立方につき金一〇円とする。
和量一六
麁銅一〇〇斤(
)につき代金は一六円、販売地は青森県三戸郡八戸港とし、運送費は麁銅一〇〇斤に
貰目
つき金八〇銭、陸送で牛馬を混用する。
職工坑夫の賃金は、坑夫一名一日金一〇銭から四〇銭まで、職工一名一日金八銭から三〇銭までである。
このように不老倉当初の採鉱、製煉の仕方は、古い伝統的な技術のままであった。なお一八年九月、県が調書
の報告を求めた坑夫・汽機等の現況について、不老倉鉱山は次表(第一二表)のように書上げている。