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幅を床の間にかかげ、職員と共に地域教育について語り合った。なおこの軸は文部大臣田中隆三が斎藤のために
書いたものである。また一方には石川理紀之助が揮毫した「鶯の附声聞けば物は皆教への親に似たる世なりけ
り」の軸をかかげ、職員の共感を呼んでいた。
学童宿泊の一日は夕食から始まるのであるが、食前神仏に祈り、「祈りて共に食い、祈りて共に働き、祈りて
共に学び、祈りて共に考え、祈りて共に楽しむ」を朗読して食事を始めた。終ると清掃、訓話、すべてが後藤静
香の修養団方式であった。起床は五時で厳寒の候には六時、直ちに清掃、終れば「神前早天修養会」の大幟をか
かげ斎藤のラッパで大日堂に至り、礼拝して大日堂の由来等についての訓話、さらにラッパの合図で近隣の子供
達も呼び集め、総勢で広い境内の草取り・清掃を行なって塵一つない清浄な聖域とした。
家庭では粗略にされていた食事の作法や、神仏礼拝の作法も家庭まで延長され、あまり理解を示さなかった部
落民も次第にこの教育に感謝するようになった。
三、社会教育
図書館
入正一二年八月、郡町村長会において郡長川上彦二は内務・文部省の指令にもとづいて指示し
たなかで、特に町村の簡易図書館の設置をつよく要望している。その趣旨は、農村文化開発上、
特に青年子女の教養のために、町村を単位とした簡易図書館の必要なことはいうまでもない。郡内では未だ一般
に普及していないのは遺憾であり、各町村に図書館を新設し或は青年文庫の拡張を図る等、この種事業の振興に