昭和46年頃音江別川沿で、約100万年前の地層(下野幌層)からキタヒロシマカイギュウの化石が発見されました。当時の北広島は冷涼な気候で日本海側に開口した内湾であったとされています。
おおよそ100万年前の地層から確認されたステラーカイギュウの化石としては、世界で始めての発見でした。このことから、平成22年9月1日市指定文化財になりました。実物標本はエコミュージアムセンター知新の駅に保管・展示されています。
発見されたキタヒロシマカイギュウの肋骨化石
北広島は、世界でもまれな陸に棲む動物群と海に棲む動物群両方の化石が数多く産出する化石産地として、前期更新世の世界を復元することができる高い可能性をもった地域です。
手作りのキタヒロシマカイギュウ骨格模型
カイギュウのイメージ
今泉忠明『地球絶滅動物記』竹書房,1986
下野幌層からみつかった化石群
キタヒロシマカイギュウの他にも、多くの化石が発見されています。
・ヒゲクジラの仲間・・・・アゴや肋骨など発見され、大きさは約10m
・セイウチ・・・・太平洋地域での最古の現生種化石
・キタオットセイの仲間・・・・種の同定にまでいたっていない
・ハクジラの仲間・・・・イルカの可能性が考えられる
・シカの仲間・・・・現在のところ北海道での最古のシカ化石
80万年前の北広島はどんなだった?
日本海側に大きく開いた内湾でした。当時の北広島では現在よりも海水温が2度ほど低く、寒冷地を好む海の生き物が多く生息していました。陸上では、マツ属、トウヒ属、ツガ属、カバノキ属などの冷涼な気候を好む植物が生い茂り、陸ではシカの仲間が生息していました。
貝化石の産出地からみた80万年前の北広島
日本海側に開口した湾
赤松守雄『石狩低地帯周辺丘陵の鮮新-下部更新統の層序と古環境』,1992