駅逓所(えきていしょ)とは、交通不便の場所に駅舎と人馬を備えて、宿泊と運送の便をはかるために設置されたものです。松前藩によって設置されたのが起源ですが、寛政11年(1799)、蝦夷地が江戸幕府が直接治める「幕府直轄地」となったことで各地に駅逓所が設置されます。明治以降も開拓使によって継続され、北海道内に延べ六百十数か所あり、開拓期の北海道において重要な役割を果たしました。北海道庁時代になり、明治33年(1900)頃には、官設駅逓所での自由営業が主になり、昭和22年(1947)に駅逓制度は廃止されます。現在ではほとんど残存していません。
明治末期ころの旧島松駅逓所
札幌本道沿いに建っていた。
島松駅逓所は、明治6年(1873)札幌本道(函館~札幌・道内初の車馬道、現在の国道36号)の開通に伴って千歳郡島松村に設置されました。明治17年(1884)、札幌県から中山久蔵(札幌郡月寒村)が駅逓取り扱いを命じられ、中山宅が正式に駅逓所となりました。その後、明治30年(1897)に廃止されるまで、中山家が島松駅逓所の経営にあたりました。昭和59年、国指定文化財(史跡)となり、現在の建物は、保存修理工事を経て平成2年に開館しました。
国指定史跡 旧島松駅逓所