その日から久保さんに不思議なことがおこりました。毎晩夢の中に長い髪の美しい女の人が現れ「火を消してください」と頼むのです。何日も夢は続き、久保さんはすっかり疲れ果ててしまいました。
そんなある日、はっと気がついた久保さんが老木の中をのぞいてみると、なんとそこには焼かれた大蛇の骨があるではありませんか。たたりを恐れた人々はそこに小さな祠を建て、大蛇を祀りました。それはその後に「大蛇神社」と呼ばれるようになりましたが、昭和の初めの水害で流されて、神社は無くなってしまいました。

本文・イラスト「きたひろしま歴史物語」1996年,北広島市