きたひろ昔ばなし(2)~大蛇神社(だいじゃじんじゃ)~

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 明治17年頃、北広島に入植した久保武右衛門さんの土地に、数百年になるタモの老木が立ち枯れたまま立っていました。中はすっかり空洞になったその木が開墾のじゃまになったので、久保さんは木の根などと一緒に焼き払おうと火をつけたのです。
 その日から久保さんに不思議なことがおこりました。毎晩夢の中に長い髪の美しい女の人が現れ「火を消してください」と頼むのです。何日も夢は続き、久保さんはすっかり疲れ果ててしまいました。
 そんなある日、はっと気がついた久保さんが老木の中をのぞいてみると、なんとそこには焼かれた大蛇の骨があるではありませんか。たたりを恐れた人々はそこに小さな祠を建て、大蛇を祀りました。それはその後に「大蛇神社」と呼ばれるようになりましたが、昭和の初めの水害で流されて、神社は無くなってしまいました。
 

本文・イラスト「きたひろしま歴史物語」1996年,北広島市