座敷内に上がったストーブ【その弐】第十八話

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 開拓のはじめは、みな焚き火でした。部屋のまん中に炉があってね。炉かぎでナベや鉄びんをつるし、煮炊きしたり、湯をわかしたりしたんです。家の中は焚き火の煙でまっ黒になりました。窓も小さいしそれはけむかったですよ。
(西の里 中谷完二)

 炉には夜中でも、チョロチョロと大きなマキを消えない程度に、燃やしておいたのです。炉は床より低いので、赤ちゃんがはっていくと危ないのです。大やけどをした赤ちゃんもいるんですよ。それで私の家では、父が私が赤子のときに、まだ値段の高かったストーブをつけてくれたと、後で聞きました。
(南の里 沖中武雄)

 私の家は、大正四年(一九一五)に火事になり、次の年、家を新しく建て、その時に初めてストーブにしたのでした。私が三年生の時です。
 ストーブになると、もう炉かぎはいらなくなり、ストーブの上で煮炊きし、湯をわかしたのです。そのころは、もちろんマキストーブです。コブのある木もネッコといって、そのまま入れました。何よりも煙りが部屋にこもらないので、目を赤くすることもなくなり、うれしかったですよ。
(富ケ岡 石橋豊次郎)