昔、早く稲の苗を植えるために、共同作業で田植えをしました。お互いに田植えの手伝いにゆき、そして手伝ってもらうのです。
次は富ケ岡の、故内山スナさんの話です。「田植えには、娘たちはカスリの着物に、幅広のタスキをかけてね。着物の裾を少しはしょって、赤いお腰を少しのぞかせてねえ。花嫁さんなんかは、毎日腰巻や着物を取り替えていたよ。朝の四時半ころから、晩暗くなるまで田んぼに入ったもんだ。午後三時半ごろ、小昼休みの後、みんなが田植え歌をうたいながら、また田植えをはじめたもんだよ。広島県の人が伝えた歌でね。
『この田植えりや、ミノ、カサ買うてやる
ミノとカサを買うてもらえば
三反まちまで植えましょ』
こんな調子で、歌に合せて苗を植えていくんだよ。一日の田植え終りころには、ガンガンたたいて音頭とるおじさんがいて、田植えの元気つけたもんです。」
「小学校の生徒も、子守などお手伝いしたもんです。夕方までみんないっしょです。ご馳走が出るのが楽しみでした」と浜田義夫さんは語っています。