第八話◇時代、時代の往診

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高畠博光
 
原題   時代、時代の往診(東部NO.〇五〇)
採話日  平成一二年七月一四日
話者   高畠博光氏
採話者  荒木順子、小松勁子、沢田由紀子、久野敏
編集者  吉田佐由美
採話場所 高畠博光氏宅
公開日  平成一四年一〇月一日
 

高畠医院(昭和37年開業)
 
 
 昭和二年七月一二日に、旭川市で生まれた。七三歳です。
 
 広島の厚生診療所に来たのは昭和二九年。その頃の人口は七〇〇〇ぐらいあったんじゃないかな。広島厚生診療所所長として、一年の約束で赴任しました。
 
 僕は、五代目でしょ。五代目診療所長。
 初代は、古矢仁さん。
 次が吉原啓市さん。この人は、終戦後、間もなく来られたようです。海軍の軍医さんだった。
 
 吉原さんが辞められた後、一年半無医村になってたわけ。それで、一週間交代ぐらいでドクターが北大から来てたこともあったんだ。
 
 三代目が、高橋伝さん。
 その次が、横江裕衛門さん。横江さんは、短いですね。でも庶民的で村民から慕われていた。
 
 五代目が、僕。
 僕が広島に来た時、農協の理事や村会議員さんなど村の有志が、歓迎会を催してくれた。
 
 そして、村医嘱託を命ず、学校嘱託医命ずという辞令をもらったんだけどもね。
 
 宴会の席で輪厚出身の村会議員から、「今までの医者はあまり西部方面に往診に来てくれなかったが、お前は若いから必ず来てくれ」と言われたことを今でもはっきりおぼえてますよ。
 
まあそんな事で、仕事始めたでしょ。
だけどね、正直言ってなんにもないんだわ、診療所の中が。