昔は、結婚式もお葬式も、みんな自宅でやったからね。
結婚式には樽入れって、一升瓶に一〇〇円つけたり、五〇円つけたりして。祝宴してるところに入れると、その家からお酒やつまみが出てくるの。樽なんていうものは無いからね。一升瓶、お金つけてやった記憶がある。青年がやるんだけどさ。
ごちそうは、隣近所の人が来て、みんなして手伝って、作ったんでないか。結婚式は農閑期の冬場だけ。夏場の結婚式は、全然ない。
だから、子どもが生まれる時期も、よく似てて…はっはっはっは。
うちも農閑期の…親戚を呼ぶ関係があってね。馬橇で来たね。一番前は嫁さんで、その次は荷物。嫁入り道具、箪笥だとかさ。
昔は洋服箪笥もないんだから、洗濯機もないんだしさ、ま、箪笥だけでないかと思うんだけどね。たらいくらい持ったかも。洗濯用たらい。はっはっは。赤ん坊生まれても、それでするんだからね。電化製品一切なし。
俺の時だってね、電気は付いたけど電化製品なんて何もないもん。俺の結納は三万円しか出さなかったから。当時は、やっぱり、五万ぐらいから、三万ぐらいでなかったかと思うんだけどね。三万…少ないかもしらんけど。
家内は千歳から嫁に来た。それで、家の所まで車が入らなかったから、国道までトラック頼んで。その頃、三六号線をやってた時だから、真っ直ぐ通れなかった。それで、恵庭から広島の街道通ってね、中の沢を上がってきたんだけど。
恵庭まで馬橇で行ったんだな。そして、恵庭の写真館で写真を撮って、今度はトラックで広島回って来たんだね。
婿入りってあったからね。その日に、俺が向こうの家へ行って、向こうで一回お披露目するんだわ。出ていくわけだからね。せいぜい一時間あったか、何か婿さんも行って、媒酌人も行って、そして、まぁ、みなさんにちょっと一杯。それから出てくるの。まぁ、それが昼頃になる。こっちは夜だからさ。そんなんだったと思う。