1
2
3
ようやく、目的地にたどり着いた郁次郎たちは、まず、今晩の寝るところをつくらねばなりませんでした。
幸い、吹雪もおさまってきたようです。
太めの木の枝で、おがみ小屋の骨組みをつくり、松の枝でおおって、雪をのせます。
そして、中の雪をかき出すと出来上がりです。
「北海道は、半年も冬と聞きましたが、冬はいつもこう、吹雪くのでしょうかねー。」
そのときでした。
「ウォーッ」
「ウォーッ」
おおかみの声です。
一匹が吠えると、あっちでもこっちでも
「ウォーッ」「ウォーッ」と次から次へと続きます。
「大変だ。おおかみだ。逃げましょう!」
「いや、この雪じゃ、逃げようにも逃げられん!火だ、火をたこう!!」
大急ぎで何ヶ所かに、焚火をどんどん燃やし続けました。
そのうちオオカミは、いつしか、いなくなっておりました。
幸い、吹雪もおさまってきたようです。
太めの木の枝で、おがみ小屋の骨組みをつくり、松の枝でおおって、雪をのせます。
そして、中の雪をかき出すと出来上がりです。
「北海道は、半年も冬と聞きましたが、冬はいつもこう、吹雪くのでしょうかねー。」
そのときでした。
「ウォーッ」
「ウォーッ」
おおかみの声です。
一匹が吠えると、あっちでもこっちでも
「ウォーッ」「ウォーッ」と次から次へと続きます。
「大変だ。おおかみだ。逃げましょう!」
「いや、この雪じゃ、逃げようにも逃げられん!火だ、火をたこう!!」
大急ぎで何ヶ所かに、焚火をどんどん燃やし続けました。
そのうちオオカミは、いつしか、いなくなっておりました。
4
ようやく、夜が明けました。
吹雪はすっかりやんで、晴れ渡っておりましたが、小屋から這い出した三人はびっくりしました。
小屋はすっぽり雪の中にうまっていたのです。
見渡す限り、真っ白い雪の野原(原野)。
朝日にキラキラ輝いて、まぶしいほどです。
野うさぎの足跡がどこまでも続いているのが見えました。
郁次郎は、二人を残して千歳川の境界を調べに行くことになりました。
「天気がよくなりましたが、きのうのオオカミのこともありますし、気をつけてくださいよ。」
「なに、たしか一里ほどのはずだから、さして時間もかからんのでしょう!まあ、ゆっくり体を休めていてください。」
広い北海道にきて、何ヶ月もかかり、見つけた土地です。春になったら、村をつくるのです。
”吹雪やオオカミなんぞに負けていられない”と・・・。
郁次郎は、ぐっと腹に力を入れるのでした。
吹雪はすっかりやんで、晴れ渡っておりましたが、小屋から這い出した三人はびっくりしました。
小屋はすっぽり雪の中にうまっていたのです。
見渡す限り、真っ白い雪の野原(原野)。
朝日にキラキラ輝いて、まぶしいほどです。
野うさぎの足跡がどこまでも続いているのが見えました。
郁次郎は、二人を残して千歳川の境界を調べに行くことになりました。
「天気がよくなりましたが、きのうのオオカミのこともありますし、気をつけてくださいよ。」
「なに、たしか一里ほどのはずだから、さして時間もかからんのでしょう!まあ、ゆっくり体を休めていてください。」
広い北海道にきて、何ヶ月もかかり、見つけた土地です。春になったら、村をつくるのです。
”吹雪やオオカミなんぞに負けていられない”と・・・。
郁次郎は、ぐっと腹に力を入れるのでした。
5
6
7
ふと、我にかえった郁次郎は、びっくりして息をのみ込みました。目の前に二匹のきつねがいたのです。
郁次郎は、昨日のオオカミかと思ったのでした。
「やあ、お前たちも帰る道がわからなくなったのか、かわいそうに。はよ、おかえり。この吹雪じゃ、仲間も心配しておるだろう。」
「そうだな、わしも帰らにゃ、仲間が心配しておるだろうな。ホラ、お前たちもお帰り。」
郁次郎は帰る方角も判らないまま歩き出すと、きつねたちも歩き出しました。
「お前達は二匹で心強くていいなー。」
郁次郎が立ち止まると、きつねたちも立ち止まって見上げているのです。
やがて、きつねたちは、さも、ついておいで、というかのように、後ろをふりかえりながら歩き出しました。
郁次郎はつられるように、きつねのあとから、とぼとぼとついて行きました。
何時間歩いたのか、どのくらい歩いたのかわかりません。
「オーン」「オーン」
かすかな声にきつねたちが立ち止まったので、郁次郎も立ち止まりました。
「ホラ、仲間が呼んでいるよ。はよお帰り。よかったなー。」
その時、ふりしきる吹雪の合間にひとすじの煙を見つけたのでした。
郁次郎は、昨日のオオカミかと思ったのでした。
「やあ、お前たちも帰る道がわからなくなったのか、かわいそうに。はよ、おかえり。この吹雪じゃ、仲間も心配しておるだろう。」
「そうだな、わしも帰らにゃ、仲間が心配しておるだろうな。ホラ、お前たちもお帰り。」
郁次郎は帰る方角も判らないまま歩き出すと、きつねたちも歩き出しました。
「お前達は二匹で心強くていいなー。」
郁次郎が立ち止まると、きつねたちも立ち止まって見上げているのです。
やがて、きつねたちは、さも、ついておいで、というかのように、後ろをふりかえりながら歩き出しました。
郁次郎はつられるように、きつねのあとから、とぼとぼとついて行きました。
何時間歩いたのか、どのくらい歩いたのかわかりません。
「オーン」「オーン」
かすかな声にきつねたちが立ち止まったので、郁次郎も立ち止まりました。
「ホラ、仲間が呼んでいるよ。はよお帰り。よかったなー。」
その時、ふりしきる吹雪の合間にひとすじの煙を見つけたのでした。
8
9