本市の西部を眺めると、阿武隈の山々が奥深く連なっている。阿武隈高地は南北に約一七〇キロメートルあって、福島、茨城の両県にまたがり、従来は阿武隈山脈とか阿武隈山地とか呼ばれていた。しかし、起伏がさほど大きくなく、表面はおしなべて平坦な高原状の山地であるため、いまは阿武隈高地と呼ばれている。
海岸の方から西方の山地をみると、四〇〇メートル級の石尊(せきそん)山(四五八メートル)、高帽(たかぼう)山(四三〇メートル)などが、阿武隈高地の東縁に連続している。これは阿武隈高地が、断層崖によって切断されたためであるといわれている。
これよりさらに西方の山地には、海抜四〇〇から八〇〇メートル級の山々が重なり、八〇〇メートル付近に分水嶺がある。主な山としては、本県第二位の栄蔵室(えいぞうむろ)(八八二メートル)、和尚(おしょう)山(八〇四メートル)、花園(はなぞの)山(七九八メートル)などがある。山頂から展望すると、準平原面は浅い谷川によって浸食され、浸食から残った丸みのある山々が波浪状に展開している。