太平洋に面する本市の海岸線は、全長一七キロメートルあり、その内小野矢指(おのやさし)から大津までの一二キロメートルは、平滑な弧状の砂浜海岸で、それより北部の大津岬から平潟までは、岩浜海岸が突出している。
砂浜は海岸平野の東側にあるが、北東の卓越風(たくえつふう)によって砂丘の発達がいちじるしく、足洗(あしあらい)、下桜井、神岡、仁井田(にいだ)などは、砂丘の上に発達した集落である。
砂丘には、防潮・防風林としての松林が細長くつづき、風情を添えている。
断崖絶壁の岩浜海岸は、海岸近くまでせまった丘陵が、太平洋の荒波にけずりとられてできたものである。岡倉天心ゆかりの五浦(いずら)海岸、天然の良港である平潟港、岬の岩陰を利用した大津港など、岩浜海岸は、観光や水産などと重要な関係にある。
また、北茨城地方の海岸地形は、地形の発達段階の上からは、離水(りすい)海岸(隆起海岸)が浸食の過程にあるものといわれている。