多珂郡の式内社

50 ~ 50

式内社というのは、『延喜式』の神名式に記されている神社という意味である。この「延喜神名式」は、後世まで非常に尊重され神名帳とも呼ばれて伝えられてきた。神社は祭神の神格によって大社と小社に分けられ、祈年祭にあたって国家から幣帛(へいはく)を受けることになっていたのである。常陸国の式内社は二十八座で、大社が七座、小社が二十一座である。


『延喜式神名帳』

 鹿島郡に大社二座、真壁郡に小社一座、信太郡に小社二座、久慈郡に大社一座、小社六座、筑波郡に大社一座、小社一座、那賀郡に大社二座、小社五座、新治郡に大社一座、小社二座、茨城郡に小社三座、多珂郡に小社一座があった。陸奥国と境を接する要衝の地でありながら、多珂郡に官社が一座しかないのは、国境鎮護のために天台宗寺院が多く建立されていたからであろうか。