御船祭り

133 ~ 133

大津の佐波波地祇(さわわちぎ)神社は唐帰山(からかいさん)の称呼でも有名であったが、この祭神はとくに船神として崇敬され、清められた船に神輿を安置して行われる「御座船の神事」(御船祭り)も、漁民の生活に安心と賑(にぎわ)いを与える意味で、すでに近世に端を発していたと伝えられている。さらに、この山中にあった大きな笠松も、海上を往来する船が位置を知る目当となっていたことも神威を高めていたひとつの理由であったと思われる。


大津の佐波波地祇神社

 大津の御船祭りの特色は、神輿を安置した「御座船のお浜下り」の祭事が、神船の陸上渡御であること、古くからの「お船歌」が伝承され、今もなお歌いつがれていることの二点にある。

 御船祭りは、昭和五十年六月二十五日、県指定無形民俗文化財になり、同年八月には、大津町御船祭り保存会が結成され、伝統芸能の継承発展に力をそそいでいる。さらに昭和五十四年十一月七日には、国指定選択無形民俗文化財となった。


御船祭り神輿の出御風景