仏の信仰では浄蓮寺の三十三観音が知られている。この三十三観音というのは、観世音菩薩が衆生を済度するために、この世に三十三の姿で示現するという説にもとづき、俗世間で流布している種々の観音を三十三体刻んだものである。
つまり、ひとつ所すなわち同じ所にいて、そのまま数多くの観音を拝し、その功徳を得ようというのが造立の目的であったと考えられている。近くに清流をもつ聖域に、三十三観音の霊場を設けることにより、労せずして多くの人々に観音の功徳を得させようというのである。この種の三十三観音は江戸時代に大塚村の西明寺にも造られたということが『大塚志』に記してあるから、これもある程度共通している点があると思われる。