1 地形と関東ローム層

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 小平市は日本最大の洪積(こうせき)台地である武蔵野台地の、ほぼ中央に位置している。武蔵野台地の平面形は幾分変形しているが、全体として菱形(ひしがた)である。東端は台東区の上野公園、西端は青梅(おうめ)、南端は大田区の久が原(くがはら)、北端は埼玉県の川越で、東西約四七キロ、南北約三〇キロの広さである。台地の概形は、東青梅を扇状形の要(かなめ)とし、そこから、北東から南東方向へ緩やかに傾斜している。地形の配列を明らかにするため、国土地理院が発行した二万五千分の一地形図を基図とし、高度五メートル間隔の等高線図で示した(図2-1)。図によると、東青梅の標高は約一九〇メートル、上野公園の標高は約一五メートルであることから、平均勾配は一、〇〇〇分の三・七二であるが、台地の南東側では、小平市の西端に位置する標高約一〇〇メートルの中島町付近を境として、西側と東側では傾斜がいくぶん異なっている。西側の平均勾配は一、〇〇〇分の六・一六、一方、東側の平均勾配は一、〇〇〇分の二・五九となっており、中島町から西方は勾配(こうばい)が大きい。狭山(さやま)丘陵の北側でも、標高一〇〇メートル付近を境として傾斜が異なる。これらのことから、単純な扇状地形でないことが分かる。さらに、東部の標高三〇メートル付近からは等高線が複雑に屈曲していることから、ほとんど平坦になっていることになる。
図2-1
図2-1 武蔵野台地の等高線と小平市の位置
図内の実線は主曲線で10m間隔、破線は5m間隔。細かい破線は台地内の主な河川。

 武蔵野台地の大部分は、多摩川が関東山地から運搬してきた、砂礫(されき)が堆積して形成された土地である。武蔵野台地を自動車や電車などで東西方向に走ってみると、緩やかな傾斜をした単純な土地であるが、南北方向に走ってみると、上り下りの坂道があり、起伏が多いことに気付く。石神井(しゃくじい)川や空堀(からぼり)川などを横切る場合のように、坂の両側がほぼ同じ高さの場所もあるが、国分寺駅の南側や国立市の谷保天満宮付近のように、階段状の地形になっている場所もある。階段状の土地は数万年前に多摩川などの河川によって造られた地形で、河岸段丘(かがんだんきゅう)と称される。河岸段丘は平坦な段丘面(だんきゅうめん)と、急傾斜の段丘崖(だんきゅうがい)からなっている。武蔵野台地は数段の河岸段丘の集合体で、古い時代の多摩川などの河川が、侵食と砂礫の堆積を繰り返して形成された土地である。砂礫層の上位には、関東ローム層と称される、明褐色から暗褐色をした火山灰層が堆積している。関東ローム層の層厚は、古い時代に形成された高い段丘面ほど厚い。図2-2は、武蔵野台地と周辺地方における、段丘面と関東ローム層の関係を示し、図2-3には、図2-2と段丘崖を基準として区分した、段丘面の分布が示されている。
図2-2
図2-2 武蔵野台地と周辺地における関東ローム層と地形の関係
1.表土層および埋没黒土層 2.褐色関東ローム層 3.軽石層(上位は箱根東京軽石層、下位は御岳第Ⅰ軽石層) 4.段丘砂礫層 5.シルト~砂~砂礫の互層(上総層群)

図2-3
図2-3 武蔵野台地と周辺の地形
1.山地 2.丘陵地 3.下末吉面 4.武蔵野Ⅰ面 5.武蔵野Ⅱ面 6.武蔵野Ⅲ面 7.武蔵野-立川中間面 8.立川Ⅰ・Ⅱ面 9.青柳面 10.拝島面以下の沖積段丘面 11.沖積低地 12.水面