2 丘陵地の地形と地質

15 ~ 17 / 881ページ
 丘陵地は周辺より数十メートル高く、遠くから観察すると稜線(りょうせん)の高さがほぼ揃い、全体として東へ傾斜している。尾根線(おねせん)は丸味を帯び、斜面の傾斜も緩やかである。谷間は広く、谷底には小川が流れ、谷地(やち)あるいは谷戸(やと)と称され、かつて水田として利用されていた場所も多い。多摩の横山と称される多摩丘陵、孤立丘(こりつきゅう)である狭山丘陵、また武蔵野台地西縁に分布する加冶(かじ)丘陵・草花(くさばな)丘陵・加住(かすみ)丘陵などがあり、里山として親しまれている。
 丘陵地を造る地層は、未固結(みこけつ)から半固結の、シルト層~砂層~砂礫層からなり、今から五〇万年あるいはそれ以上前、海岸付近や浅い海底に堆積した地層で、それぞれ名称が付けられているが、上総(かずさ)層群と総称されている。多摩丘陵の一部には上総層群の上位に、幾分新しい時代の砂礫層や砂層が堆積している場所もある。これらの地層を覆って、数十万年前に堆積した関東ロームと称される火山灰が、層となって堆積している。しかしながら起伏があるため、堆積したが、その後の侵食で削られてしまった場所もあれば、新しい火山灰が四~五メートルもの厚さで堆積している所もあり、層厚(そうあつ)は場所によって異なる。古い時代に堆積した下部から新しい時代に堆積した上部へと、連続して堆積している所はない。今から一五〇~一〇〇万年前に堆積した地層の分布から、当時の陸海域は、図2-4-1のような状態であったと推定される。
図2-4-1
図2-4-1 上総層群が堆積した頃(今から150万年前頃)
格子模様は山地。粗い砂模様は河川が乱流する氾濫原。模様がない場所は海域。