平成五年になって、三共グラウンドの西に隣接する個人住宅において地下車庫新設を伴う建替えを行い、擁壁の撤去新設を行うこととなった。これにともなって上記本調査の西側部分での擁壁の撤去新設も行う必要が生じた。そこで個人住宅部分に引き続き西側部分を調査して、擁壁を同時に施行することとなり、東京都の単独補助金を受けて平成五年九月二八日から一〇月二二日まで個人住宅部分の調査が小平市遺跡調査会により実施された。
調査は、工事範囲に新たに三mメッシュをかけてグリッドを設定し、工事範囲の形状に合わせて東西方向と南北方向に土層記録用のセクションを立てることとした。このセクションに区画された部分を、調査の順に応じてⅠ区、Ⅱ区、Ⅲ区と名付け、Ⅰ区とⅡ区はⅩ層上位、Ⅲ区は一部北西隅のグリッドをⅩⅡ層まで、残りをⅩ層下位まで掘り下げた。調査の結果、旧石器時代以前の遺構、遺物は見つからず、旧石器時代の所産も、Ⅲ層からは黒曜石の残核一点、Ⅳ層からは礫が二点と、上位の層では遺物が極めて乏しい。これに対し下位のⅨ層からは粘板岩製の石斧刃部片二点を含む石器三一点、礫九点、Ⅹ層からは石器八点、礫八点がⅢ区を中心に見つかり、両者の間には接合関係を持つものも見られることから、一枚の文化層の存在が推定される。