③遺構

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石器ユニット
 住居址(じゅうきょし)のような形での生活の場の中心が確認されにくい旧石器時代の遺跡にあって、鈴木遺跡では調理場の跡と考えられる礫群や炭化物片集中、炉穴、石器製作址が比較的数多く発見され、生活の場の具体的な復元が可能となった結果、旧石器時代における具体的な人間活動の場(遺構)の様相を明らかにした。特に鈴木小学校地点における調査では石器や礫の接合関係の分析から遺跡中心部での占地のあり方や石器製作、動物解体といった各種の活動領域の様相が明らかとなった。

礫群
 鈴木遺跡では特にⅣ層を中心におびただしい数の礫群が発見され、その詳細な研究がなされて礫群研究の方向性を示唆した。また礫面観察、破損率、礫の接合関係の検討や母岩別分類が丹念に行われ、石器ユニットとの位置関係の検討など、当時の生活領域の復原における礫からの情報抽出の可能性も飛躍的に高めた。

炉穴
 鈴木小学校地点のD地点Ⅹ層中から発見された土坑は、覆土に焼礫二点のほか炭化物片を多量に含み、立川ローム層中最古の炉穴として評価される。この他にも炭化物が充満した炉穴と思われる遺構が見られる。

その他の遺構
 陥穴、住居跡等の明確な遺構は確認されていないが、農林中央金庫研修所北側道路地点で発見された大形の土坑は、大形の剥片を二点ともなう等、墓坑(ぼこう)としての可能性も窺わせる特異な遺構である。