④遺物

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石器群と変遷
 鈴木遺跡から多量に出土する石器群は、技術史的な見地から四つの石器群に大別され、さらに時期的に以下の八期に編成が試みられている。
 鈴木遺跡第Ⅰ期 Ⅰa期:ⅩⅠ~ⅩⅡ層に包含される石器群(初期石刃石器群)
 鈴木遺跡第Ⅱ期 Ⅰb期:Ⅹ層~Ⅸ層下位に包含される石器群(初期石刃石器群)
         Ⅰc期:Ⅸ層上位~Ⅶ層に包含される石器群(初期石刃石器群)
         Ⅱa期:Ⅵ層(姶良火山灰層準)に包含される石器群(ナイフ形石器+石刃石器群)
         Ⅱb期:Ⅳ層下位~Ⅳ層中位に包含される石器群(ナイフ形石器+石刃石器群)
         Ⅱc期:Ⅳ層上位に包含される石器群(ナイフ形石器+石刃石器群)
 鈴木遺跡第Ⅲ期 細石刃石器群(Ⅲ層)
 鈴木遺跡第Ⅳ期 槍先形尖頭器を主体とする石器群(Ⅰ・Ⅱ層)

斧形石器
 Ⅸ層、Ⅹ層を中心に打製の斧形石器が数多く出土したが、その中に局部磨製石斧と呼ばれる刃の部分を磨いた資料があった。これにより磨製の技術が新石器時代ではなく後期旧石器時代初頭にまでさかのぼることが確認され、また斧型石器における刃部再生も、斧型石器と剥片とが接合する例として発見されている。

石材
 Ⅳ層以降を中心に黒曜石製の石器が多く見られるなど、鈴木遺跡における黒曜石保有率の高さは、当時の石材供給における高い位置を示しているとも評され、また都道2・1・3号線地点での自然科学的手法による産地同定の試みは、消費地遺跡と石材供給源に関する多くの知見を与えるものとなった。