納税完納に関連する写真資料として、小平市立喜平図書館所蔵の三枚が存在する。図1－29は、風にはためくおそらくは日の丸の下に、人物が前列に八人後列に九人の合計一七人並んでいるものである。後列の房のついた旗の中央には月桂樹の枝に囲まれた「誉」の文字が、旗の左肩に下げられた幅広のリボン状のものには「表彰　昭和十五年　北多摩郡小平村」の文字が見られる。入口の表札上の部分には「電話　小平　二八番」の文字を読みとることができ、この建物が現在の仲町公民館の位置にあった旧小平村役場であることがわかる。旧市役所職員等何人かの方にこの写真を見ていただいた結果、村長小野熊太郎（おのくまたろう）をはじめ、ほとんどの個人名や役職が判明した。図1－30は学校のような建物の前に六〇人以上の人物が五列に並んでいる。この写真でも房のついた旗が左端に置かれている。「誉」の文字のすぐ上には「完納」が、さらに上には「表彰」、下には「東京府」の文字が白文字で右横書きに書かれていることが確認できる。また村長小野熊太郎を含めた七人が前列に入っている。背後の建物は、現小平第一中学校、昭和一五年当時小平青年学校の校舎である。図1－31では胸に白く丸い徽章（きしょう）を付けた人物が三四人、大きな建物の玄関に並んでいる。背後の入口の右脇に「地方奨励表彰式場」と大書された立看板が置かれている。ここにも房のついた旗があるが、この写真では全部で五本あり、「表彰」と書かれた幅広のリボンが、旗を吊るしている槍先のついた棹に直接結び付けられている。前の二枚と共通するのは村長小野熊太郎のみである。

図1－29　集合写真1

図1－30　集合写真2

図1－31　集合写真3

図1－32　写真裏面の文字

　この三枚はアルバムに貼付されていたため、所蔵者の許可を得て写真を剥がして裏面を見たところ［図1－32］、図1－29・30には「昭和十五年二月十一日小平村納税完納ニ付表彰セラレ記念撮影ス」、図1－31には「昭和十五年二月十一日小平村納税完納表彰ニ付東京府廳（とうきょうふちょう）前ニテ記念撮影ス」と書かれている。