4 発見された遺構[図2-3]

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図2-3
図2-3 八小遺跡の竪穴住居址

 ゴミ穴の掘削にともなう発見であったため、調査が行われる段階で「すでに以前のごみ穴は広げられ、竪穴の約半分以上が掘られてしまった」(『八小概報』)という状況であった。しかし発掘調査の結果、表土から約二〇cm下に確認面〔遺構の掘り込まれた面〕をもつ竪穴住居跡であることが確認された。覆土(ふくど)は上位にスコリア〔火山灰に由来する赤い粒子〕と炭化物を含む黒色土層、下位に褐色土層の二枚が確認された。
 竪穴住居跡の平面形は隅丸方形(すみまるほうけい)〔四隅の丸くなった四角形〕で、東西約四・七m、南北約四・一m、壁高(へきこう)〔遺構の掘り込まれた深さ〕は約三〇cm、壁の周囲には幅一〇cm前後の周溝(しゅうこう)〔竪穴住居跡の壁の周囲に掘られた浅い溝〕が巡る。床面中央には柱穴と考えられる土坑(どこう)〔地面に掘られた孔〕が二基あったが、これは住居の建て直しにともなうものと考えられた。また円形と楕円形(だえんけい)の土坑が六か所あり、その規模は径約五〇cm~一m、深さは約二五cm~六〇cmで、貯蔵用の穴と考えられる。これらのうちP1・P2の二基は覆土が黒色土で遺物が出土したが、それ以外の土坑は覆土が褐色土で遺物はともなっていなかった。
 竪穴住居跡の東北の隅では壁と床面が破壊されてしまっており、わずかにFの位置に径約二〇cmの焼土が認められたにとどまるが、鱒渕氏がごみ穴を掘った際には多量の焼土と灰が確認されたとのことで、おそらくこの部分に竃(かまど)〔竪穴住居跡に取り付けられた、煮炊きをするための施設〕が存在したものと推定される。