図2-4の1~4は土師器である。4は甑(こしき)〔底面が無く、水を入れた甕(かめ)の上部にはめ込まれ、加熱されて穀物を蒸すための、蒸籠(せいろう)のような働きをする容器〕で、中央の柱穴から破片となって出土した。口径二七・三cm、高さ三一cm、底径一五・四cmで、全面が薄褐色で、煤(すす)が付着している。口唇の内面には凹線が一条あり、底は垂直に切られている。口縁の外反した部分には横方向のケズリ、胴部には縦方向のケズリが認められる。肩部に二個の突起が対称的につけられている。3は甕(かめ)の破片で、口径二〇cm、高さ(現存)一一cm、口縁は外反し、横方向のケズリ、頸部以下には縦のケズリが認められる。胎土は薄く外面には煤が付着し、煮沸(しゃふつ)用に用いられたと推定される。1は坏(つき)〔小型の深い皿状の容器〕で、口径一三・三cm、高さ四・五cm、底径六・四cm、底面には回転糸切痕〔土器をロクロ上で粘土(ねんど)のかたまりから引き上げて成形した後、切り離す際につく渦巻(うずま)き状の痕跡〕が、見込みと側面には粘土を接合した痕跡(こんせき)がみられる。2は高台のある碗(わん)〔土製の碗〕で、熱を受けて赤褐色を呈する。
図2-4 八小遺跡の出土遺物(1) 1:坏 2:高台のある碗 3:甕 4:甑 |
図2-5は出土した布目のある平瓦(ひらがわら)の破片の拓影(たくえい)。『八小概報』には住居址の発見時に出土したもので、厚さは二・一cm、布目は比較的粗く、焼土が付着し、裏面には撚糸(よりいと)の痕跡が認められる、との記載がある。
このほか図示されていないが、厚手の須恵器(すえき)の破片、石製品、鉄製品が一点ずつ出土している。石製品は長さ八cm、幅四・五cm、厚さ一・二cmの凝灰岩(ぎょうかいがん)質で、全面が磨かれていることから砥石(といし)として使用されたものと考えられる。鉄製品は鏃(やじり)の茎かとも考えられるが、住居跡にともなうものであるかは不明であるとされている。
図2-5 八小遺跡の出土遺物(2) 布目瓦 |