第一節 遺跡の発見と調査

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 平成二年頃、花小金井南町一丁目八九〇番一七に所在する旧NTT職員社宅花小金井東社宅(当時、電電公社職員社宅花小金井東社宅)の敷地内にて、縄文時代の石器を採集したとの情報があり、小平市教育委員会では当該地が遺跡の存在する可能性のある地域として注視していたが、調査の機会を得られないでいた。しかし平成一七年度後半になって、当該地における再開発計画がもち上がり、平成一八年に住友不動産株式会社に開発工事に先立つ試掘調査の実施を打診したところ、了解を得ることができたため、国および都の補助金による平成一九年度市内遺跡発掘調査第一地点として、平成一九年六月一八日から七月六日まで調査を実施した。調査は開発対象地のうち石神井川の流路に近い敷地南辺部に三m×一〇mのトレンチを四本設定してローム層上面まで掘り下げ、縄文時代の遺構、遺物の検出を試みるとともに、石神井川の旧流路に最も近い南側を深掘りして旧石器時代の遺構、遺物の確認も併せて行った[図4-1]。
図4-1
図4-1 花小金井南遺跡 グリッド配置と土層

 その結果、最も東側の4トレンチの北東部において複数の焼礫が出土した。礫はⅢ層を削平した後形成されたと考えられる耕作土を除去した面、すなわちⅣ層上位の所産と考えられたため、トレンチを東へ約二m拡張して遺物の広がりを確認した。遺物はこの拡張部を含め約一m×約三mの範囲に広がり、石器類も含まれることが確認された。遺跡有無確認という性格の調査であったため、これ以上の拡張も掘り下げも行わず、東側に二・五m×二・五mの調査区を新たに設定して掘り下げを行ったが、遺構、遺物は発見されなかった。