2 見つかった遺物について

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 遺物は回田遺跡、八小遺跡と同様、武蔵野郷土館に旧蔵されており、現在江戸東京たてもの園となっているが、その移管作業中の平成二年に実見、再実測することができた[図5-1]。『北多摩北部の調査』には言及がないが、石材は褐色を呈する緻密な油性頁岩で、部分的に濃い褐色の部分が貫入することが観察される。
 第一章で見た『考古学ノート』の『資料報告』では「近年、武蔵野台地でも石槍(尖頭器)を出す遺跡は増えたが、特に多量に発見された瑞穂町狭山ヶ池を中心とし、現在湧水の見られない国分寺市榎戸新田、小平市小川三番等の凹地に面した付近より発見されていることや、本遺跡〔回田遺跡…引用者註〕のように湧水がかつては近くにあったと思われることなどによって、無土器時代には湧水が現在より豊富であったと想像される。」と述べられ、付近に湧水点等が存在したことによる出土であったと考察されているが、平成二四年三月現在、周辺でその他の遺構、遺物等の出土は報告されていない。
図5-1
図5-1 小川三番遺跡 出土遺物