草葺き屋根の葺き替え

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 天神町のある農家は現在の新しい家を昭和四十二年に建てたが、それは小平市内でも遅い方であった。そしてその十年ほど前の昭和三十三年の冬に、家の草葺きの屋根を丸葺きした。草葺きの葺き替え自体が珍しい時代になっていた。丸葺きであるから屋根を全部剥がした。ここには茅の無尽(むじん)は無かったので、茅は現在スーパーのいなげやの近くにあった用水の付近から刈ってきたし、大沼田にあった別荘の草屋根を瓦に葺き替えるというので、その古いワラも買った。屋根葺き職人は北野中の人が一人と、東にもおり、西の天神町にもいたので頼んだ。また葺き替えには兄弟や組合の人など大勢が手伝いに来てくれて職人の下働きをした。男衆は下から麦ワラや茅を屋根に放り投げ、屋根の上の萱葺き職人は受け取って葺いていく。家の者は職人や手伝いの人たちの接待で、ご飯、茶菓子を用意したのだが、そうした準備には女衆が手伝いに来てくれた。葺き上がるのに半月ほどかかったという。
図3-18
図3-18
小川愛次郎氏宅間取り図。総建坪119坪(小川町 昭和38年10月)(『小平ふるさと村市指定有形文化財 旧小川家住宅玄関棟移築復元修理工事 開拓当初の復元住居建築工事の記録』、1998年刊より作成)