図3-19 回田の草葺き民家の南面(『小平ふるさと村 移築復元修復工事の記録』小平市教育委員会 1992年刊より) |
図3-20 図3-19の民家の東側より(図3-19に同じ) |
まず、同家の草葺きの旧宅の規模と構造の概略を『小平ふるさと村 移築復元修復工事の記録』より述べる。家の棟は東西に延び、入口は南に向いて建てられていた。屋敷建坪は約四十坪、茅葺き屋根は入母屋造りで、屋根の棟までの高さは地面から約六・八メートル、長さは十八・五メートル、奥行き八・二メートルであった。構造材の柱は、大黒柱はケヤキ材、そのほかの柱は杉材が多かった。留め釘は和鉄を叩いて鍛造した断面が四角い釘である。家の上部の小屋組の梁や桁は、手斧(ちょうな)、斧ではつった材で組まれていた。柱は三十七か所の礎石の上にのっていた。この建物は大正十二年(一九二三)におこった関東大震災にも壊れることなく持ちこたえてきた。