ドマには煮炊きをするヘッツイやカマド、大ガマを設(しつら)えていた。このオカッテとダイドコロ空間は、調理や煮炊きをし、そして食事をする場であり、また家族が集い憩う場でもあった。また来客を迎える場であり、夜なべ仕事に母親が売れない蚕のクズマユをイロリの鍋で煮て糸車で糸を巻きとる場であり、冬場であればムシロを敷いて草履(ぞうり)や草鞋(わらじ)のワラ細工をする場になり、ムシロ機を織る場になる。味噌や醤油作りの時期にはドマに設えた大ガマで大豆を煮て、味噌作りの場になった。茶作りの時期には茶を蒸して茶揉みの場となり、暮れの餅つきの時の糯米を蒸し餅を搗く場になり、小麦を臼で挽く場になる。屋内での農作業の場となるのがこの空間であった。また、ダイドコロの壁は鍬や鎌をかける収納の場でもあった。柱時計はオカッテに向いてかけられていた。この時計だけは現在も新しい住まいのオカッテにかかっていて時を刻んでいる。大黒柱の一つ奥側にある柱にはザシキ箒がかかっている。いつもこの位置に下げていた。