結婚式の空間

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図3-28
図3-28

結婚式の空間


 昭和二十九年、彼の結婚式が自宅のザシキとオクの二間を使って行われた(図3-28)。そこに親戚関係などの二十数名の客が向かい合って座われるように、ザシキの境の障子戸を取り払い二十畳の大部屋にした。昔から決まっている互助組織の家の人の進行で式は始まる。オカッテでは近所の女衆がイロリで里いも、ニンジンやゴボウなどの煮つけ物を作り、ドマのダイドコロでは頼まれた魚屋が宴に招待客の仕出し料理を作った。そして家のオモテのニワでは、ムシロを敷いて男衆がうどんを打った。この家では花小金井駅近くの「魚七」という魚屋に料理を頼み、魚屋はまな板から包丁、料理の材料のすべて揃えて持参し、吸物などのお椀物などの料理を次々と作って出した。小平では自宅での結婚式のもてなし料理は、魚屋に来てもらって作ってもらうことが多かった。

図3-29
イロリのまわり・オカッテ。障子戸のむこうはザシキ(図3-19に同じ)