戦後、都営住宅などの集団住宅の建設がすすみ、都市から多くの人が移り住むようになってくる。そうした集団住宅の多くがかつての雑木林を切り拓いて建設された。農家も農地を宅地化して貸家やアパートを建てていく。こうして外から多くの人が移り住むようになっていくが、暮らす側にとっての生活環境はすべてが整っているわけではなかった。上下水道の普及は必ずしも十分ではなく、農家の場合は、宅地自体が広い空間を有しているので、庭の隅に浸透層の砂利層まで吸い込み穴を掘って排水し、小川のある農家ではそうした深さの排水孔を三本くらい掘って対応していたという。昭和四十七、八年頃もそういった自家処理が必要な地域があった。宅地化による排水は用水にも影響を及ぼし、用水の水がきれいになっていくのは下水道が完備してから後のことになるという。