履き物

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 かつての日常の履き物は自家製のワラゾウリであった。また竹皮のゾウリは丈夫で美しくよそ行きでもあったし、冬の雪の日の通学用にも履いた。さつまいもなどの出荷の遠出に履くのはワラジである。そして地下足袋や古い上足袋をはいた家もあったが、畑仕事は素足のことも多かった。ワラゾウリをはいては畑仕事はできなかった。冬の霜柱がたった畑土、真夏の暑さの畑土の上でも多くは裸足の作業だった。終戦後、古タイヤを利用したゴムゾウリがでて、はじめて履き物を履いて畑仕事をしたという農家もあった。ゴム製なので雨の日にも履けて重宝した。その二、三年後に地下足袋が普及はしたが、値が高くなかなか買えなかったという。戦前には長靴も真新しい無傷なものはめったに使えず、古道具屋で手に入れたが、自転車のパンク直しをしたように傷んだ部分にゴムを切り張りしたものであった。畑仕事でない日常はゾウリや下駄を履いた。昭和三十年代の写真には、野良仕事に地下足袋を履き、土間には子どもの履き物のズックも見える(図4-7)。
図4-7
図4-7
野良仕事に出かける準備である。上はメリヤスのシャツであろう、チョッキは毛糸か。下はズボン、すねにゲートルを巻いている。足は地下足袋 飯山達雄氏撮影・寄贈 小平市立図書館所蔵(1957年頃)

図4-8
図4-8
ダイドコロのヘッツイでご飯炊きの主婦。上は筒袖に近い着物に下はモンペ、その着物の上から白の割烹着である。足は靴下にツッカケ(図4-7に同じ)

図4-9
図4-9
畑仕事の女性。頭に手拭い、筒袖タイプの上衣、半巾帯に山袴風のモンペ、上下とも絣、腕に手甲(図4-7に同じ)

図4-10
図4-10
ねんねこ半天。子供を背負った上から着る防寒の半天 小川町 個人所蔵(1962)