沢庵漬けは糠と塩だけで漬ける。糠を多くして塩を少なめにし、押しを強くする。その割合は漬ける人の勘による。ある人は四斗樽を基準にして塩は二キロ、糠はその二倍くらい入れて漬けている。これも大根の大きさにもよるので一概にはいえない。漬物にする時に、丁寧な家は大根をサメの皮で洗った。表面に傷がつくとそこから塩がしみこんで漬かりやすくなる。ある家では近年でも自家用の沢庵を三百本ほど漬けていた。一年におよそ一日一本弱宛の消費であるが、かつての農家では朝、昼、夕食と、十時と三時のおやつにも食べ、一日五本位は食べたというから、漬ける量はもっと多かった。