図4-19 うどん作り 飯山達雄氏撮影・寄贈 小平市立図書館所蔵(1957年頃) 左 木鉢でねった小麦粉をまるめる 中 のし棒で伸ばしたものを切る 右 釜で麺をゆでる |
モノビは御馳走が食べられる日で、それについては『ききがき 小川四番の女たち2 季節の祀りと暮らし』に詳しく書かれている。表4-4を参照いただきたい。モノビに登場するものは、手打ちうどん(かてうどんという)、茹でまんじゅう、餅、団子。白米のご飯に、赤飯、お寿司、などである。いくつか特記すると、かてうどん。これは純麺(じゅんめん)といった。小麦だけで作った純な食べ物という意味である。ご飯が麦や陸稲の混ぜたものだったものに対しての言葉であろう。うどんは茹でて水で晒(さら)してつけ麺で食べる。かつては大根を「千六本」に切って茹でたものを添え、またほかに茹でた白菜、インゲン、ナス、ごま油で炒めたさつま揚げとか炒めた物を添えたが、野菜で量を増やし麺自体を大切に食べてほしいという、出す側の気持ちがそこに含まれている。冠婚葬祭時の人寄せには必ず出された御馳走である。そして結婚式の本膳の最後も必ずうどんであった。結婚式の料理を頼まれる魚屋は、まな板、包丁や材料の一切を持参しておすましや椀物をすべて作るが、本膳のうどんを打つのは互助組織の男衆だった。
結婚式に招かれた客はそこで御馳走を食べるのだが、家で待つ子どもたちにも楽しみがあった。その親が持って帰る土産の折詰である。その中には普段は食べない蒲鉾とかキントンなどが入っていた。また自家のニワトリをつぶして食べたが、そうしたモノビは一年にかぞえるくらいの日しかなかった。